呉昇桓0封締め CS5連投もなんの

 「セCSファイナルS第3戦、巨人2-4阪神」(17日、東京ド)

 度胸満点の守護神が危機を救った。球場からわき起こる「スンファンコール」に迎えられCS5連投のマウンドへ。2点リードの八回だ。2死一、二塁で打者は代打・セペダ。一発を浴びると逆転を許す場面でも、呉昇桓の心は乱れなかった。

 石直球で圧倒した。カウント1ボール2ストライクから、4球目に投じた外角低めは、わずかにボール。思わず苦笑いしたが、最後は148キロの石直球で左飛に打ち取った。

 イニングまたぎも、問題なしだ。九回は2三振を含む三者凡退。3試合連続セーブを挙げ、CSファイナル突破に王手をかけた。

 「皆しんどいので、自分だけの問題ではない。疲れは感じない」

 試合後、力強い言葉を残したラストボスは体も心も強い。韓国では李大浩(ソフトバンク)、秋信守(レンジャーズ)、ロッテで活躍した金泰均と共に、「ゴールデンエージ」と呼ばれる。昨年まで韓国・KIAに所属し、大学時代にバッテリーを組んだ宋山は、こう証言する。

 「スンファンは1番体は小さいけど、気は1番強い。ケンカも1番強いはず」

 ピンチでも動じない石仏に敵なしだ。発奮材料もあった。15日に古巣サムスンがリーグ優勝を決めた。尊敬する林昌勇に祝福のメッセージを送ると、熱い返信が送られてきた。

 「お前も今、一生懸命頑張っているんだから、必ず日本一になって帰ってこい」

 石仏の心は揺さぶられた。日本一を成し遂げ韓国へ凱旋する-。新たな決意が守護神を突き動かす。

 信頼する守護神へ和田監督は最敬礼した。「これだけ連投していると疲れもあるだろうけど球のスピード、質が落ちることはない。頼もしい」。CSファイナル進出まで、あと1勝。バスへ乗り込む前、呉昇桓は言った。「いつも平常心だ」。歓喜の瞬間も、石仏で決める。

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