さえたタクト!和田監督まだ泣けない
「セCS第1S第2戦、阪神0-0広島」(12日、甲子園)
固く閉ざされた重い歴史の扉を開いた。聖地の大声援を背に受け、2試合21イニング連続シャットアウト。阪神が5度目の挑戦で球団史上初のCSファーストS突破を決め、宿敵・巨人への挑戦権を勝ち取った。
エンドラン、盗塁などを仕掛けた攻撃面では2試合で1点しか奪えなかったが、引き分けで勝ち抜けが決まる運命の一戦で、失点を防いだ和田タクトが随所で光った。
七回、1死二、三塁のピンチで敬遠の満塁策を指示。好調・会沢に打順が回るリスクを覚悟した上で、守りやすさを選択した。最大のピンチにエース・能見が鈴木誠を三ゴロ、会沢を見逃し三振。指揮官の勝負手が実った。
得点を奪うしか、次戦に望みをつなげない広島ベンチの作戦も読み切った。延長十一回、1死一塁。カウント1‐1からピッチドアウト。読み通りに盗塁を企てた俊足・菊池を寸前で刺した。鉄壁の守備で“勝利”への流れを築いた。
「このファーストステージが始まる前に、東京ドームに行ってもう1回、巨人と勝負したいという思いがあった。本当に投手陣がよくゼロで踏ん張ってくれた」。虎将は球団史に新たな1ページを書き込んだ投手陣の奮闘をたたえた。
ウイニングボールで膨らんだ右ポケット。「監督になって1勝目以来だね。福原が譲って持ってきてくれた」。ファイナルS進出を決める延長十二回を締めたベテランの心遣いがうれしかった。
試合終了の瞬間、激闘を戦い終えた指揮官の瞳が潤んで見えた。「いやいや、まだまだだよ」。こんなところで泣いてる場合じゃない。巨人を倒し、下克上を完成させるまで、絶対に泣くまいと心に誓っている。まだ道半ばだ。
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