ゴメス、マートン不在の穴埋める適時打
「阪神5‐4広島」(9日、京セラ)
満足そうに、一塁ベース上で手を叩いた。1点差まで迫られた接戦で、阪神・ゴメスが価値ある適時打だ。4点リードの五回。1死三塁から146キロ直球を中前へはじき返した。不動の4番がマートン欠場の穴を埋めた。
「トリタニサンが進塁打を打ってくれたので、外野フライでもオッケーだと思ってリラックスして打席に立てたよ。自分の仕事はチームに貢献すること。最低限の仕事はできたと思う。チームが勝って良かったよ」
死球で出塁した二回は犠飛で先制のホームを踏み、四回は豪快な打撃でチャンスメークした。打撃以上に和田監督がうなったのは一塁守備だ。三回、無死一、二塁の場面。犠打を狙った大瀬良の打球を軽快にさばき、三塁でアウトに。先発能見を助け、先制点の芽を摘んだ。「あれが大きかった。間一髪だったけど思い切ってスローしてくれた」。ゴメスも「準備はしていたし強い打球がきたら投げるつもりだった。アウトになって良かった」とご満悦だ。
気持ちの切り替えが早い。凡退の打席後、ベンチに戻りヘルメットをたたきつけても、すぐに感情をリセット。平静を取り戻すと、丁寧に元の場所に直す。浮き沈みのない穏やかな性格が、ここまで安定した成績を支えている。
この日も3打数2安打1打点の活躍。マートンがスタメンを外れたがチーム力で乗り越えた。「新井さんが今日のように活躍してくれるから自分のすることは変わらないよ」。新井を含め、チームメートを信頼している。 首位巨人が敗れゲーム差は0・5に迫ったが「今は巨人が勝っても負けても、うちが勝てばいいだけ。それだけだよ」とサラリと言う。ライバルの勝敗に一喜一憂しない。シーズンの勝負どころまで、4番はどっしりと構えている。
