新マエケンキラーは隼太!プロ初猛打賞

 「阪神7‐5広島」(8日、京セラ)

 阪神・伊藤隼のキャリアに胸を張れる数字が残った。マエケンから3打数3安打。プロ初の猛打賞を球界のエース相手に記録し記憶に残るアピールに成功した。

 二回の第1打席でインハイのスライダーを中前へ。四回はアウトハイのカーブを再び中前へ。そして六回にはインローの直球を右前へ運んだ。得点にはつながらなかったが、「結果はたまたまだけど、自信にはなる」と、顔をほころばせた。

 「打ってナンボです」。伊藤隼は常々そう話している。守備力に改善の余地があることは承知しているが、“ストロングポイント=打撃”で飛び抜けなければ、道は開けない。

 思い出多き神宮が野球人生の分岐点になるかもしれない。前カードのヤクルト戦。3戦目に相手左腕が先発した試合で今季初スタメン。村中から1安打1犠打を決めた。本人は残り打席の凡退を悔やんだが、首脳陣から成長を買われ、この夜、マエケン攻略の1ピースとして指名された。慶大時代、庭だった神宮を「今はもう特別な感情はない」と言う。プロ入り後は複数の首脳陣から多角的に打撃指導を受けるが、慶大時代はまず指南されることがなかった。ダメなら自分で打開するしかない環境で築いたフォームを原点とするなら、振り返ることで見いだせるものがある。大学時代のDVDを引っ張り出し、過去のフォームと向き合ったこともある。

 「毎日結果が問われる立場なので、これを継続していきたい」。四回には鶴岡への初球に二盗に成功。プロ初盗塁のおまけもついた。これまでマエケンキラーといえば、対戦打率・429の今成だったが、今季4打数4安打。通算・444の伊藤隼は立派に新キラーを襲名できるはずだ。

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