「巨人４‐６阪神」（１３日、東京ド）

　全員野球が結実した。球宴前に鳴らした進軍ラッパ。和田監督の意思表示が、宿敵を打ち破るキーワードになった。攻めに出た指揮官。仲間を信じたナインの献身。すべての要素が凝縮し、痛快な逆転勝利を織り成した。

　懸命につないだ。２点を追った七回。１死から今成が左前打。２死後、代打・新井が右前打。続く上本が四球。満塁の舞台を整え、代打・関本が逆転のグランドスラム。点が線となり、勝負の分岐点を制圧した。

　「球宴までは全員野球。１試合、１試合を全力で戦っていく」。後先を顧みない総力戦。一枚岩の結束力を強固にして戦いに挑む姿勢。９連戦前に発した将の熱い言葉が、敵地で彩り鮮やかな大輪の花を咲かせた。

　和田監督が示した攻撃的タクト。岩田を３年ぶりに中４日で起用した。「タイガースはジャイアンツに対して、なんとかするんだというのを見せたかった」。熟慮の末、先発ローテを再編成に踏み切った熱が、連勝が止まった再起戦で奏功した。

　「今日の試合を取れたのは非常に大きい。この３連戦の重さを選手が分かってくれていた。敵地で勝ち越せたのも大きいね」。今季の命運を左右する可能性すらあった一戦を制した指揮官の表情が充実感で満たされていた。

　４カード連続の勝ち越し。首位・巨人に３・５差に迫り、２位に再浮上。９勝１敗の７月。球宴前最後の３連戦。次なる敵は竜。締めくくりには３タテが最も似合う。