上本V撃 梅野敬遠でクールに燃えた
「阪神7‐5ヤクルト」(19日、甲子園)
ここ一番で、勝負強さが光った。試合を決める一打を放ったのは、それまで3打席凡退だった虎の新リードオフマン・上本だ。
同点の六回、1死二塁。ここで相手バッテリーはルーキー梅野を敬遠気味の四球で歩かせ、上本との勝負を選択。だが、上本は冷静だった。「自分は何とも思わなかった。ヒットを(打つ)という感じだった」。初球のシュートを中前へはじき返し、決勝点をたたき出した。
高い修正能力を発揮した打席だ。それまでの3打席で打ち取られていたが「右方向を意識し過ぎて、(バットが)下から出ていた」と上本。その中で「自然に打席に立つようにした」という意識の変化が、見事な一打を生み出していた。
和田監督は「あそこで(梅野が)歩かされるとは思っていなかっただろうし、期するものがあっただろう」と上本の気持ちを代弁。そして「非常に集中して、持ち前の勝負強さが出た」と絶賛した。
5点差を逆転した勝利に指揮官も、「今のチームには絶対にあきらめない気持ち、はね返す力が付いている」と目を細める。それでも慢心はない。上本は「先は長い。1試合1試合、気を引き締めていきたい」と話した。この勢いは、しばらく止まりそうにない。