伊藤和3人斬り!堂々“再デビュー”
「広島8‐2阪神」(17日、マツダ)
胸の高鳴りを必死に抑えた。7点ビハインドの八回。ようやく、名前をコールされた。苦しい時期を乗り越え、たどり着いた2年ぶりの1軍マウンド。阪神・伊藤和は思い切って右腕を振った。
「緊張しました。今年初めての登板だったので、ゼロに抑えようと思いました」
先頭の上本は直球で追い込み、最後は決め球のチェンジアップで空振り三振を奪った。白浜は遊飛。最後は代打田中をチェンジアップで見逃し三振。テンポのいい投球で1回を三者凡退に抑えた。
「追い込んでからは三振を狙いました。しっかり腕を振って投げられて良かったです」
頼もしい右腕の投球に和田監督は「ある程度、楽な展開で投げさせてあげようと思っていた。それを差し引いてもいいピッチングだったね」と絶賛した。
昨季2軍では12試合の登板にとどまり防御率11・57。「フォームを見失いました…」。復調へ投球フォームの試行錯誤を繰り返したが、出口は見えない。そんなとき榎田の一言がきっかけをくれた。「元のスタイルに戻してみたら?」。迷いは消えた。フェニックスリーグで見事に復活。3年目のシーズンへ、光が差した。
だが、非情な通告が待っていた。育成選手降格。背番号は「17」から「117」に。入団以来、17番は思い入れのある番号だった。
「ドラフト4位でこんなにいい番号をもらったので、頑張らないといけないですね」
それでも諦めない。2月以降の対外試合で13試合連続無失点。結果を残し、再び支配下登録を勝ち取った。
「今日は負けている展開だったので、結果を出し続けて、勝ちゲームに使ってもらえるようにしたいです」
一度は地獄を見た右腕が、進化して1軍の舞台に戻ってきた。