呉昇桓が貫禄初S!初の東京Dで石直球

 「巨人3‐5阪神」(29日、東京ド)    

 3つめのアウトを奪うと、ようやく「石仏」の顔が和らいだ。「あと1球コール」を背に、阪神の新守護神・呉昇桓が来日初セーブを挙げた。

 「チームが1勝できたことが大事。緊張感よりもチームが勝つことだけを考えていた」

 2点リードの最終回、大歓声に迎えられ新守護神がマウンドへ。先頭阿部は初球の149キロ「石直球」で三飛に打ち取ったが、続くロペスは中前打。2死後、橋本には14球粘られた。その間、自らの暴投で三塁まで進塁されたが、石仏は表情一つ変えない。最後は石直球で中飛に仕留めゲームセット。直球の最速は153キロ。32球を要したが、緊迫のゲームでチームに今季初勝利をもたらした。

 「巨人は強いチームだと知っている。ただそれをマウンドで考えることはない」

 投手では珍しくマッサージを嫌う。完璧に鍛えられた筋骨隆々の肉体は、もはやそれを必要としないからだ。過去に肘を故障して目覚めたトレーニング。2年のリハビリに耐え進化して戻ってきた。苦い記憶が代名詞の、「石直球」を生んだ。

 和田監督は「あれだけ粘られてもストライクゾーンに投げられるのは素晴らしい。走者を背負っても表情を変えないのは頼もしい」と称賛した。

 来日中の両親はこの日もスタンドから声援を送った。「ウイニングボールは両親にあげる」。そう言ってほほ笑んだ石仏。異国での戦いがスタートした。

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