良太、意地弾!兄の不覚に弟が一矢
「交流戦、西武5‐1阪神」(20日、西武ド)
あきらめない!センターバックスクリーンに飛び込んだ弾丸が風を切りながら、そう叫んでいた。菊池雄星の完封ペースに待ったをかける追撃のアーチ。逆転を信じる阪神・良太はめいっぱい駆け足でホームまで返ってきた。
「センターに打ち返すイメージで打った。芯でとらえられたので…。点差?関係ない、ない」
四回に兄貴浩の失策から5点を奪われ、中盤以降は敗戦ムードが充満した。そんな劣勢の七回。スイスイと快投を続ける雄星が投じたカーブをたたいた。パ・リーグ防御率トップに君臨する21歳左腕にとっては、4月20日の日本ハム戦で中田に浴びて以来となる1カ月ぶりの被弾。かつて甲子園を沸かせた怪腕に一矢報いる5号ソロは「まだいける」という活気を猛虎にもたらした。
「球も速いし、角度もあった。最初から打てたら良かったんですけど…」。二回の第1打席では、先頭で安打した兄貴浩を一塁に置いた場面で外の速球を強振したが、遊ゴロ併殺に倒れた。四回の第2打席は四球で歩いた兄を一塁に置き、内角速球に力負け。バットをへし折られる三ゴロに封じられていた。
3打席目の雪辱は、本人に言わせれば遅すぎる反撃。前2打席のうっぷんを晴らした格好だが、本塁打の感慨より序盤の凡打が脳にこびりついて離れなかった。
「ダメなら厳しい声も出る。そういう声があったとしても、僕が打って勝てば『良太、良太』と激励してもらえる。逆にそういう声の数を大きくしてやろうという気持ちが強い」。良太は開幕前に、そう話していた。左太もも裏の肉離れで戦列を離れる憂き目も経験したが、それも「糧」にする。5本塁打、22打点は、打撃2部門で兄貴浩に次ぐチーム2位の貢献度。最終回にも二塁打の兄を塁上に、右前打を放った。ネバーギブアップの姿勢を最後まで貫いた。
0点で終わらなくて良かった?報道陣からそう問われると、「それは僕が言うことではないと思う」と、冷静に答えた。良太が示した反撃の精神は尊かった。
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