開幕6戦で3度目完封負け…榎田見殺し
「阪神0‐1中日」(4日、京セラ)
重い。あまりに重すぎる。阪神打線は中日投手陣の前にわずか3安打。和田豊監督(50)の勝負手も実らなかった。無得点に封じられた。2カード連続負け越しで、開幕から6試合で早くも3度目の完封負け。負の流れはいつになったら止まるのだろうか。
勝負の一手。定石を踏まず、経験値を重んじた。虎将の決断。両軍無得点の七回、2死一、二塁。12打席連続無安打のコンラッドに告げた代打。右投手のカブレラに桧山ではなく、新井を送り込んだ。三ゴロ‐。サイの目は裏と出た。
起用の裏側。3月17日の教育リーグ・中日戦。新井はカブレラの球筋を2打席にわたって体感していた。「それも含めて、新井の状態も良かったから。勝負にいった結果」。和田監督は切り札を投入せず、新井に命運を託した理由を説明した。
映像でなく、ベンチからでもなく、18・44メートルの空間で角度、各球種の変化具合を確認していた強みに賭けた。新井と桧山を天びんにかけ、右には左のセオリーに倣わず、前者を選択した。だが、実を結ばず。波に乗り切れない現状を映し出す。
直後にタイムリーエラーで先制点を奪われた。8回2安打1失点の榎田に報いることができなかった新生・猛虎打線。3安打。三塁を踏むことすら許されず、開幕6試合で早くも3度目の完封負け。敗北が必要以上に重くのしかかる。
「守りうんぬんより、ゼロじゃ勝てんわな。カブレラ?難しい難しいって言っとったら勝負にならん。また当たるわけやし。とにかくゼロじゃ勝てんわ」。試合後の会見。一塁側スイングルームに指揮官の焦燥感が充満した。
8年ぶりのリーグ制覇に向けて盤石の態勢を配したはずの開幕ダッシュに失敗した。「勝てば10勝分の効果がある」とした開幕戦を制して連敗。「勢いの出る勝ち方。明日が大事になる」と振り返った地元開幕戦をサヨナラ勝ちで飾りながらの連敗で2カード連続の負け越し。
守備のほころびが気になる。和田監督は『守りうんぬん』と評したが、極論すれば、点を与えなければ負けることはない。たとえ打てなくても。2試合連続の適時失策。野球にミスは付き物だが、失敗が失点に直結してしまう現実が和田阪神を取り巻く苦しい現状だ。
「まず1点取れるように、明日からやっていきます」。病巣が浅いうちに、しかるべき手を打つ。和田監督の顔に漂う悲壮感。138試合を残す余裕はなかった。
