日馬富士“左フック”でKO10連勝
「大相撲秋場所10日目」(18日、両国国技館)
綱とりに挑む大関日馬富士は高安を下手投げで退け、初日から10連勝とした。全勝だった横綱白鵬は、栃煌山にはたき込みで敗れて金星を献上、旭天鵬も大関鶴竜につり出されて土がついたため、優勝争いの単独トップに立った。大関稀勢の里は、関脇豪栄道をすくい投げで下し9勝目。3人が1敗で追う展開となった。
日馬富士が“左フック”でKO勝ちした。粘る高安に得意の左張り手を決め、膝から崩れ落ちる相手の顔面に頭が直撃。下手投げで転がした高安は、脳振とうで起き上がれなかった。「体がよく反応した。(張り手は)流れでやっているから。相手の動きがよく見える」と淡々と振り返った。
これで10連勝。いつものように「一日一番。全身全霊で」と繰り返した。旭天鵬が敗れ、目の前で白鵬にも土がつき、優勝争いで単独トップに立った。「自分のことで精いっぱい。余計なことは考えない」と、口調は変わらなかった。
場所前に「10日目まで全勝か1敗でいかないと」と、指摘した北の湖理事長(元横綱)は「動きがいい。残り5日。1つ1つ階段を上って横綱が近づく」と評価。貴乃花以来2人目の、2場所連続全勝優勝による横綱昇進も夢ではない。
伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は、自身の綱とり場所(90年名古屋)の心境を「相手のことは考えない。一日一番。自分の相撲を取ること」と回想する。師匠と同じ心構えで突き進む日馬富士。「全身全霊は重い言葉。説明する必要はない」と、覚悟を掲げた。
