「W杯アジア最終予選、オマーン1-2日本」(14日、マスカット)
ザックジャパンがW杯に王手をかけた。前半20分にMF清武弘嗣(23)=ニュルンベルク=が先制しながら、相手の直接FKで同点とされる苦しい展開だったが、試合終了間際にMF岡崎慎司(26)=シュツットガルト=が劇的な決勝ゴールを奪った。勝ち点を13に伸ばし、来年3月26日に行われるヨルダン戦に勝てば5大会連続5度目のW杯出場が決まる。
苦しんで、苦しんで王手をかけた。重苦しい空気を打ち払ったのは、岡崎の得点感覚だった。1‐1で迎えた試合終了間際、左サイドから途中出場の酒井高が鋭くクロスを入れると、攻撃的なポジションに変わっていたMF遠藤がヒールでそらす。「来ると思っていた」と突進して、シュートをねじ込んだ。「それ以外は何もしていませんよ」。殊勲のゴールを、ヒーローは照れくさそうに振り返った。
酒井高のクロスが入った瞬間に「ヤットさん(遠藤)がさわると思った」と直感した。「今まで行ききれていなかったので」と、思い切りゴール前へ詰めた。大歓声のオマーンサポーターを一瞬で黙らせ「大事なところで決めてなかったので、自信にはなっています」と自画自賛した。
代表では6月のオマーン戦を最後に得点から遠ざかっていた。「FWとしての感覚がちょっと」と、もやもやした気持ちを抱えていた。しかし、所属チームのシュツットガルトで「1トップや2トップでやらせてもらえている」と、いつか代表でも得点することをイメージして、己を磨いた。
左足親指骨折の影響で10月の欧州遠征はメンバーから外れた。仲間たちがフランスに勝ち、ブラジルに大敗するさまを外からつぶさに見つめていた。「みんなと同じ気持ちです。個でできることを増やさないといけない。(ブラジル戦は)僕も負けた気分だった」岡崎にとって磨くべき個の力は、得点を奪うこと。ここ数カ月間の思いを、一気に吐き出した。
岡崎自らが壁に入った場面で相手の直接FKを決められ、一時は同点とされる苦しい展開を乗り越えた。来年3月26日のヨルダン戦に勝てば、5大会連続5度目のW杯本大会出場が決まる。「まだ油断はできないっすね。(相手を)圧倒はしていない」と気を引き締め直した。気温は30度以上、湿度84%の中での過酷な戦いを経て、ザックジャパンと岡崎は、また一回りたくましくなった。