井上尚弥擁する大橋ジム・大橋秀行会長 「全然違っていた。すごいものだと」34年前の衝撃 東京ドームで「いつか自分が」

 「ボクシング・四大世界タイトルマッチ」(6日、東京ドーム)

 34年ぶりとなるボクシングの東京ドーム興行が目前に迫った。4団体統一スーパーバンタム級世界王者の井上尚弥を擁し、所属する4選手で国内初の4大世界戦をプロモートする大橋ジムの大橋秀行会長(59)に、今回のドーム興行にかける思いを聞いた。

  ◇  ◇

 1990年2月11日、大橋秀行は東京ドームにいた。この日、マイク・タイソン(米国)がジェームス・ダグラス(同)の挑戦を受けた統一世界ヘビー級タイトルマッチが行われ、その4日前の2月7日、隣の後楽園ホールでWBC世界ストロー級(現ミニマム級)王者となった大橋も観戦に訪れていた。

 それまで日本人は世界戦で21連敗を喫しており、大橋は一般紙でも一面で報じる日本ボクシング界の救世主になっていた。大橋がドームに姿を見せると「ウワーッ」というどよめきが起きたほど反響は大きく、「すごい社会現象になった感じ」だったと振り返る。タイソンの再度の来日もあり、ボクシングに世間の注目が集まっていた。

 ただ、88年3月以来2度目の東京ドームだったタイソンは動きが重く、ダグラスのスピーディーな攻撃に苦戦。8回にダウンを奪うも、疑惑のロングカウントもありKOを逃した。10回に連打を浴びてダウンすると、そのままカウントアウト。デビューからの連勝は37でストップし、鉄人の衝撃的な敗戦に世界が驚いた。

 大橋が王座を奪取した日の後楽園ホールは「立ち見が出て、すごい人だった。あり得ない熱気だった」と述懐するが、東京ドームで行われたタイソンの試合は「全然違っていた。すごく覚えていますね」と強烈な印象だった。

 「ヘビー級はすごいものだと。タイソンってたぶん負けないんじゃないかと思われていたから、結末もすごく驚きましたね。倒れて、マウスピースくわえながらテンカウントを聞いちゃったのは、すごくビックリしましたね。でも、それがやはりヘビー級と軽量級の差なのかと思って」。

 大橋は報道陣を前に「防衛を重ねて、いつか東京ドームで自分がやりますって力強く言い切った」と東京ドームでの試合を夢みるようになったが、同年10月25日にリカルド・ロペスに敗れて王座陥落。92年10月14日にはWBA王座を奪取したものの、93年2月10日に王座を明け渡し、94年2月7日に引退を表明した。

 「願いがかなわず、ドームでやることはできなかったんだけど。もう全然とんでもない話、本当に夢の世界で」というのが選手・大橋秀行にとっての東京ドームだった。

 あれから34年、大橋はプロモーターとして東京ドーム興行を実現させることになる。

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