西田凌佑 圧倒的王者有利予想もはね返し妻とつかんだ悲願の世界王座「沙捺、取ったで」

 12回、ロドリゲス(左)の顔面をとらえる西田凌佑(撮影・石井剣太郎)
 新王者となり妻の沙捺さんとポーズをとる西田凌佑(撮影・石井剣太郎)
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 「ボクシング・IBF世界バンタム級タイトルマッチ」(4日、エディオンアリーナ大阪)

 挑戦者の西田凌佑(27)=六島=が、王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に最大7ポイント差をつける3-0の判定勝ち。初めての世界挑戦でタイトル奪取の快挙を達成した。これでバンタム級はWBCの中谷潤人(M・T)、WBAの井上拓真(大橋)に続き、日本人王者が4団体のうち3団体を独占した。ロドリゲスは初防衛に失敗した。

 激闘で右目を大きく腫らした西田だったが、リングサイドで観戦した夫人への感謝の言葉に全ての思いを込めた。3月末に第1子となる長女が誕生したばかりだが、沙捺夫人は子育てと並行して栄養面を含めて西田をサポート。二人三脚でつかんだ世界のタイトルだ。

 戦前の予想は圧倒的に王者有利だった。ロドリゲスは井上尚弥(大橋)と統一戦を戦った経験のある実力者。対して西田はキャリアわずか8戦。しかもKO勝ちはひとつだけ。それでも、自分を信じて武市晃輔トレーナーと王者攻略の策を練った。

 鮮やかなボディー攻撃だった。4回1分30秒、えぐるような左ボディーを突き刺すと、ロドリゲスが苦悶(くもん)の表情でダウン。勝利へのポイントになる武市トレーナーと磨いてきた秘策だった。しかし、中盤からはロドリゲスが反撃。ノーモーションの右を何度も浴びたが、セコンドからの指示でしつこくボディーを狙った。これでポイントをたぐり寄せ、ジャッジの1人が7ポイント差をつける明白な判定勝ちで王座を奪取した。

 試合直後は「正直、実感がない。夢みたいです」と世界のベルトを肩にした会見でも、自分が成し遂げた快挙が信じられない様子。文句なしの判定勝利だったが「ロドリゲスは気持ちが強くて、コンビネーションは全然見えなかった」と振り返った。足を使って逃げ切るのは難しいと判断して、中盤戦以降はあえて接近戦に挑み、しつこくボディーを狙い続けたことが勝利を呼んだ。

 WBCの中谷潤人、WBAの井上拓真に続き、バンタム級のトップに駆け上がった。「この試合に懸けていて、負けたら辞めるつもりだった。先のことは考えていない」と話したが、世界王者になっても進化を続ける西田の可能性は無限に広がっている。

 ◆西田凌佑(にしだ・りょうすけ)1996年8月7日、奈良県香芝市出身。奈良・王子工高でボクシングを始め、国体少年の部フライ級で優勝。近大に進学後もボクシング部で活躍した。アマ戦績37勝13敗。卒業後は大手パンメーカーに就職したが、六島ジムに入門して19年10月にプロデビュー。21年4月に元世界王者の比嘉大吾を破ってWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座を獲得し、3度の防衛に成功した。家族は近大ボクシング部で同期だった沙捺夫人と1女。身長170センチ。左ボクサーファイター。

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