【長谷川穂積の拳心論】ハートは熱く頭は冷静な田中君

 「ボクシング・WBO世界ライトフライ級タイトルマッチ」(13日、エディオンアリーナ大阪)

 WBO世界ライトフライ級王者の田中恒成(22)=畑中=が同級13位パランポン・CPフレッシュマート(タイ)を9回TKOで退け、2度目の防衛に成功。WBA同級王者・田口良一(30)=ワタナベ=との統一戦実現へ大きく前進した。

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 【長谷川穂積の拳心論】

 初回にダウンした田中君は苦戦したとも言えるが、一段階強くなったとも言える。相手のボクシングはレベルが数段下だった。だから王者が何をしようとしているのかわからず、自分のペースでどんどん打ってきた。その中で判定ではなく、倒して勝てたことは大きい。

 僕にも経験があるが、同じように一生懸命に練習していても大きな試合後はどこか一段落ついてしまう。強い相手との初防衛戦に成功した田中君は、その後の気持ちのつくり方が難しかったと思う。

 前に一緒にテレビ解説をした時に、田中君があまりにしっかりボクシングを理解していて驚いた。若いのにそれを言葉にできる。スピード、テクニック、手数、ディフェンス能力も高い彼は、今の若手でも僕のイチオシだ。

 その上でハートは熱く、頭は冷静というボクサーの鉄則が試合でできる。22歳だが、頭の中は成熟している。7月にすばらしいTKO勝ちをした田口君とは面白い試合になるだろう。

 岩佐君と小国君の日本人対決は、小国君があまりにサウスポーを苦手すぎた。当時22勝22KO無敗だったグスマンを下して王者になった力があるのに、左相手に立ち位置を変えたり、頭の位置をずらしたりすることもできなかった。また、ワンツーの右を打つ時に少しためるクセがあるため、岩佐君にすべて見抜かれた。

 得意の左ボディーも右構えが相手なら生きるが、左には腹に当たる位置が悪い。相性の悪さをフォローできず、ズルズルといってしまったのは残念だ。(元世界3階級制覇王者)

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