ボクシングのＷＢＣ世界スーパーバンタム級王者・長谷川穂積（３５）＝真正＝が９日、神戸市内で会見し、現役引退を表明した。９月１６日に国内最年長３５歳９カ月で世界王座に返り咲き、世界３階級制覇。最後に自身の強さを証明し、１７年間のボクシング人生を完全燃焼した。

　以下、長谷川引退会見での一問一答。

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　（壇上の長谷川から冒頭、進退に関する発表）

　「私、長谷川穂積は９月１６日の試合を最後に引退することを決めました。まだＷＢＣスーパーバンタム級チャンピオンですが２日後、ＷＢＣ総会に出席してベルトを返上します。引退理由に関しましては自分自身に対して証明することがなくなったのが一つ。もう一つは心と体を一致させて世界戦をして、世界チャンピオンになるという目標で戦ってきて、前回それを達成することによって、戦う理由もなくなって、前回以上の気持ちを作るのが難しくなった」

　（代表質問で応答）

　－改めて引退を決意した時期、心の葛藤、そのあたりを詳しく。

　「時期に関しては前回の試合が終わってからやろうかな、もういいかな、とずっと考えていて１１月中旬くらいに答えが出た」

　－まだ試合を見たいとの声も。

　「もう少し見たいな、で辞めるのがいい。ご飯と一緒で腹八分目がちょうどいい」

　－天国の母・裕美子さんには。

　「母親が生きていれば『あなたの好きにしたら』と言ってたと思う。無事で健康で変わらずいろんなことに挑戦できる。このまま引退できたのを喜んでくれていると思う」

　（各社との質疑応答。終始晴れやかな表情に変わりはない）

　－証明したかったもの。証明できたと思えた瞬間とは。

　「（進退に）悩んでた時、自分がボクシングを始めた理由を考えていた。例えばお金持ちになりたいなら試合をすればお金ももらえる。ですけど、始めた理由は僕が強いかどうか知りたい。そして強いのであればどれくらい強いのかを知りたかったから。前回の試合をこなしたことで、僕の中で一つ、強いか弱いかの結果が出た。これ以上、答えを探す必要はなくなった」

　－まだまだやれる思いはあるか。

　「前回の気持ちを作れば誰にも負けない自信はある。体は作れるけど、気持ちを作るのはすごく難しくなってきた。チャンピオンのままですけど自分の中では今が一番美しいかなと思っています」

　－もう戦うことはない。

　「半年後に復帰してたら笑ってください。ま、それはないですけど。でもステージは変わるだけで、長谷川穂積という人間がなくなるわけではない。次のステージにステップアップして、新しく戦う場所を見つけたい」

　－名残惜しさは。

　「後輩や友達の試合を見たりするといいな、したいと思うかも。でも自分は本当に満足もしているし、納得もいっているし、これ以上ないボクシング人生を歩めたのは誇り」

　－引退を話した方は。

　「自分自身と話した。そして自分に問い合わせて、そして答えを出しました。誰に伝えたか覚えていない。本当に自分とばっかりしゃべっていた。家族とご飯を食べに行って伝えたのは覚えている」

　－チャンピオンの次のステージは。

　「正直、ぼんやりしかなくて。まあ、機会があれば英語の勉強をしに行きたいと思う」

　－理由は。

　「外国人と友達になりたい」

　－王座陥落後、厳しい時期があった。返り咲きを果たせた最大の理由は。

　「一番はボクシング愛。ボクシングが好きだという気持ち。自分は心と体が一致して戦えば、絶対誰より強い、絶対誰にも負けないというのを自分自身が知りたかった」

　－後輩ボクサーたちに残したい言葉は。

　「練習はしんどい、行きたくないなという時もあった。引退して、そんな日々さえも楽しかったな、と思える。現役は試合前、しんどいと思うけど、終わってみれば一時のこと。その苦しみを楽しんで強くなってほしい」

　－１７年間、貫いたことは。

　「自分に負けないこと。トレーニングですけど。練習は本番。試合はおまけと思っている。トレーニングだけは自分に負けないようにずっとやってきた」