大仁田、聴覚障害者レスラー友龍とのタッグでワイルド軍に劇勝

 「プロレス・WILD HERO~ヤミキ追悼興行~」(5日、東京・新木場1stRING)

 大仁田厚が聴覚障害者によるプロレス団体「WILD HERO」に初参戦し、聴覚障害者レスラー・友龍との初タッグで、ワイルド軍に勝利。団体運営権をHERO正規軍の手に取り戻した。

 HEROは正規軍が昨年11月1日・板橋大会で、ワイルド軍に敗れて乗っ取られてしまった。2月22日・新木場大会での「運営権争奪戦」でも、ワイルド軍に敗れて2連敗を喫した。窮地に陥った正規軍のエース・友龍が助けを求めたのが、プロレスファン時代、“あこがれの人”であった大仁田だった。友龍は超戦闘プロレスFMWの9月26日・後楽園ホール大会で、大仁田の控え室を訪ねて、11月5日・新木場大会への参戦とタッグ結成を直訴。かねて、障害者スポーツを応援していた大仁田は、友龍の申し出を快諾し、初参戦に至った。

 決戦は「HERO運営権争奪戦ファイナル」と銘打たれ、正規軍にとっては、まさにラストチャンス。大仁田と友龍は保坂秀樹、ケン・片谷と組み、ワイルド軍のワイルド・ベアー、ワイルド・セブン、ワイルド・ライジング、ワイルド・シューター2号と激突。試合形式は有刺鉄線ボード・ストリートファイト8人タッグデスマッチで行われた。

 デスマッチ初挑戦の友龍は、有刺鉄線ボードにブレーンバスターで投げられ、有刺鉄線バットで殴られるなど、ワイルド軍から非情な攻撃を受けるも、やられてもやられても根性で立ち上がった。

 大仁田が再三試合に介入していた、ワイルド軍のマネジャーであるワイルド・コモンを捕獲し、脳天を机の破片でぶったたき、覆面をはがして毒霧を見舞うと、コモンはたまらず場外に転落し悶絶。これで完全に流れが変わり、大仁田&保坂が4脚のイスの上に設置した有刺鉄線ボード上にダブル・ブレーンバスターでベアーを投げ捨てた。青息吐息のベアーに、大仁田が机の破片で一撃し、続けて友龍が有刺鉄線バット攻撃をたたき込んで執念の3カウントを奪った。

 この勝利で、晴れて運営権は正規軍に手に戻った。助っ人として、それをアシストした大仁田は、コモンをリングに上げると、その正体は運営会社GPSプロモーションの豊島修二会長だった。大仁田はコモンに対し、「いつまでもつまらないゴタゴタするな。友龍、百太聾(女子聴覚障害者レスラー)も一生懸命がんばってる。改心して、仲良くやってくれ!」と言うと、2人の聴覚障害者レスラーとの握手を促した。観念したコモンは友龍、百太聾とガッチリ握手を交わして和解。丸1年ぶりに、HEROに明るい陽が差した。

 控え室に戻った大仁田は「体に障害があったら、自分の好きなことをやっちゃいけないのか?障害があっても、好きなことをやってるヤツは素晴らしい。観客にも聴覚障害の人がたくさんいたと思うけど、夢と希望を与えられたと思う。(次回の参戦は?)友龍が呼んでくれれば、ボクはいつでも協力します」とコメント。友龍は「あこがれの大仁田さんと同じリングに立って、勝ててとてもうれしい。デスマッチは初めてだったけど、いい経験になりました」と感慨深げだった。

 運営権は正規軍の手に戻り、興行はハッピーエンドで終わったが、ワイルド軍が、このまま黙って引き下がるとは思えず、まだまだ両軍による抗争は続きそうだ。

 この大会は今春、心不全のため急逝したヤミキ選手(本名・佐藤幹夫=享年65)の追悼大会として開催された。新日本プロレスの元練習生で、ミスター・ポーゴ、グラン浜田と同期生だったヤミキ選手は、HERO創設メンバーで、聴覚障害者プロレスのパイオニア的な存在だった。第5試合終了後、追悼セレモニーが行われ、10カウントゴングを鳴らし、ヤミキ選手の冥福を祈った。

 ヤミキ選手の実息で、GPSプロモーション・佐藤剛由社長は「こんなに多くのお客様に来ていただき、ありがとうございます。ヤミキは所属選手であり、父なんですが、関係者、ファンの皆さまのおかげで、大勢の皆さまに見送られて感謝します。しんみりすると怒られると思いますので、明るくいい興行にしたいと思います」とあいさつした。

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