高山勝成が王者返り咲き 日本最多16度目の世界戦で

 「ボクシング・WBO世界ミニマム級王座決定戦」(20日、三田市駒ケ谷運動公園体育館)

 同級2位で前IBF世界同級王者・高山勝成(33)=仲里=は、左目上をカットしながら、同級1位の加納陸(18)=大成=を6回58秒、負傷判定3-0で退け、王者返り咲きを果たした。

 1回こそ左ストレートをもらうなどしたが、「思ったより出てこない」と加納の消極さにギアを上げた。2回は手数、出入りでポイントを奪った。

 3回、偶然のバッティングで自らの左目上をカット。しかし、流血戦となれば、酸いも甘いも知り尽くす33歳の独壇場だった。

 いつ試合が止められてもおかしくない程、傷は深い。ギアを上げた高山はスピードを増し、血しぶきを上げ、加納に襲いかかっていった。4、5回、右フックでぐらつかせ、弱らせていくと、ポイントを重ねた。

 6回、ドクターストップにロープをたたき悔しがったが、勝敗は明らか。「加納選手は弱っていたのが分かった。終盤にかけKOできた」と言い切った。

 具志堅用高、長谷川穂積を上回る日本最多16度目の世界戦。両まぶたのカットもあり、昨年は試合のたびに流血した。傷が治り切る前に指名試合となった昨年大みそかはスパーリングゼロでぶっつけ本番。本来の動きにはほど遠く、ホセ・アルグメド(27)=メキシコ=を相手に8回負傷判定で敗れ、王座を陥落した。

 8カ月ぶり、傷がふさがった再起戦は加納では役者が違った。日本初の4団体制覇王者は「正直まだまだ。18歳のこの時期、トップと戦えたことを財産として生かすも生かさないも彼次第」と、余裕の表情だった。

 世界戦9勝6敗1分け。負けても負けてもはい上がる雑草男は自らの国内最多記録を更新する4度目の世界王者返り咲き。日本選手最多となる6本目の世界ベルトも手にした。

 左目の傷は深い。再び長期離脱を余儀なくされるが、中出博啓トレーナーは「世界16戦、キャリア40戦、今まで戦ってきた証(あかし)」と胸を張った。

 名古屋市の私立菊華高に通う現役高校生は夏休み最大の宿題をクリアした。新学期の始まる9月1日には大量の宿題を渡される予定でつかの間の休みを満喫する。「かき氷とか甘い物を食べたい」と、あと11日、夏の思い出作りに胸を躍らせた。

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