具志堅氏、表彰式スピーチでも沸かせた
元WBA(世界ボクシング協会)世界ライトフライ級王者で13回連続防衛の日本記録を持つ具志堅用高氏(59)=デイリースポーツ評論家=が14日(日本時間15日)、当地で行われた国際ボクシング殿堂の殿堂入り表彰式に出席した。元WBA世界フライ級王者で73年に自動車事故で23歳の若さで他界した大場政夫さんとともに日本人では4、5人目となる殿堂入りを果たし、感慨に浸った。
一瞬にして“ヨーコー・ワールド”に引き込んだ。恒例の殿堂入り表彰者によるスピーチ。壇上の具志堅氏は小さな咳払いを一つして、こう切り出した。
「HELLO!」
張りのある声が会場に響く。立ち見を含む、約500人の聴衆の顔がほころんだ。「I WILL NEVER FORGET THIS WONDERFUL DAYS.(この素晴らしい日を絶対に忘れません)」
たどたどしい英語。だが、心を込めて言葉をつないだ。途中、日本語で「本当にうれしいです。日本のみんなに素晴らしさを伝えていきます」とも。拍手、歓声、指笛、そして、笑顔。そこに国境は存在しない。最後に「I WILL COME BACK AGAIN(またここへ戻ってきます),THANK YOU!」と叫ぶと会場はまた沸いた。
スピーチ後も聴衆を魅了した。贈られた記念リングを持って自席に戻ると、隣に座る元統一世界ヘビー級王者のリディック・ボウ氏(米国)に見せてくれとせがまれた。指輪を手渡すと、一向に返す様子がない。困惑の表情を浮かべる具志堅氏。“即興コント”に会場がどっと沸いた。
「チャンピオンって面白い人がいっぱいいるんですよね」。他人事のように言った。
11日に現地入り。ゴルフ大会やレセプションなど、殿堂ウイークのイベントに参加。この日、表彰式前に行われたパレードでは、2人の子供と孫と一緒にオープンカーに乗り、沿道からのコールに右拳を上げて応えた。
式典の最中は、右手中指にはめたリングを左手でずっと触っていた。ボクシングを通じて出会った恩師や恩人の名を口にしながら「みんな、しっかり輪になってやってきたことで『今日』があるのかなと思いました」としみじみ。「重みがありますね」と続けた。
「本当にボクシングをやってよかったな、って思います」。26日に還暦を迎える“世界のカンムリワシ”の目は少し潤んでいた。





