【畑山評論】長谷川はやり切ったと思う

 【畑山隆則の目】長谷川選手にとっては、ちょっと相手が悪かった。これだけガンガン出てくるファイタータイプとやるのは初めてじゃないかな。今は世界的にみてもボクサーやボクサーファイタータイプがほとんどだからね。しかもマルティネスはかなり強いチャンピオンだった。

 結果的には2ラウンドに足を止めて打ち合ってダウン、そのダメージが蓄積して最後は崩れ落ちてしまった。こうなると長谷川選手にとっては、4回TKOで敗れたフェルナンド・モンティエル戦(2010年4月30日)の影響が大きかったというしかない。ボクサーというのは一度でもノックアウト負けをしてしまうと、耐久力などに影響が出てモロくなってしまうもの。あの一戦がターニング・ポイントだったと如実に感じさせられたね。

 それでも久々の世界タイトル戦ということで気持ちが入っていたし、試合後の表情もすっきりしていたように見えた。やり切ったんじゃないかな。これから長谷川選手の去就がどうなるかは分からないけれども、バンタム級で10回も防衛したことは特筆に値するし、具志堅用高さんの13度防衛を抜くかと思ったほど。スーパー王者と言っていい。ぜひ後進に“長谷川穂積のボクシング”を伝えて、業界に恩返しをしてほしい。(元WBA世界スーパーフェザー&ライト級王者)

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