“怪物”井上が最速タイで日本王座奪取

 「日本ライトフライ級タイトルマッチ」(25日、座間市民体育館)

 史上初の高校生アマチュア7冠を達成した“怪物”井上尚弥(20)=大橋=が王者・田口良一(26)=ワタナベ=を3‐0の判定で下し、辰吉丈一郎、平仲明信に並ぶ日本人最速タイ記録となるデビュー4戦目での日本王座奪取に成功した。田口は初防衛に失敗。井上は田口のプレッシャーに苦しみ、4戦連続KO勝利は逃したものの、パンチの精度で上回り、最大6ポイント差をつけて押し切った。

 “怪物”が苦しんで初めてのベルトを手にした。初めてKO勝利を逃した井上は「うれしいですけど、まだまだ未熟者です」と、地元座間市のファンの前で反省。「田口選手はスタミナも接近戦もすごくて、何度もくじけそうになったんですが、チャンピオンになるという意地を出しました」と、王者をたたえた。

 WBC世界3位にもつける王者は簡単な相手ではなかった。プレッシャーをかけてくる田口に対し、過去3戦のように圧倒的な戦いはできなかった。得意の左のクリーンヒットは少なく、連打でも見せ場はつくれない。接近戦で打ち合いを演じるなど、田口のペースにはまる場面もあった。有効打で上回る危なげない判定だったが、“怪物”には物足りなかった。

 「勝ちに徹して、楽なボクシングをしようと思えばいくらでもできますが、KOを狙って打ちにいったんですが、倒しきれなかったのはショック。悔しい?そうですね」と激闘を振り返った。

 トレーナーの父・真吾氏も「変な余裕を持ったり、気持ちにムラがあった。田口選手が強くて、いろんな課題を出してくれて次につながるいい経験になった」と、問題点を挙げながらも収穫を口にした。それでも、前日が42歳の誕生日で1日遅れの勝利のプレゼントをもらったことには「そりゃうれしいですよ」と、頬を緩めた。

 記録で並んだ辰吉は豪快なKOで王者となったが、井上は「内容は辰吉さんの方が何十枚も上。全然かなわない」と恐縮。ジムの大橋秀行会長は「次はない。年内もう1戦やって、来年になりますかね」と、6戦目での世界挑戦を示唆した。井岡一翔(井岡)が持つ、7戦目で世界奪取の日本記録更新へ‐。“怪物”は、苦戦を糧にさらに大きくなる。

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