ももクロの演技力にただただ舌を巻く

笑顔で手を振るももいろクローバーZ=東京・Zeppブルーシアター六本木(撮影・西岡正)
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 幕が下りた後、思わずつぶやいた。「ももクロちゃん、ごめんなさい!」-。

 ももいろクローバーZの主演舞台「幕が上がる」(24日までZeppブルーシアター六本木)は、それぐらい素晴らしい舞台だった。

 本広克行氏演出で、演劇部の女子高校生の青春を描いた群像劇。今年2月には本広氏の監督で、5人が同じ役を演じた同名映画も公開された。

 「みずみずしい」の一言だった。客席で、私は部活に打ち込んでいた高校生のあの頃に戻っていた。

 高城れにや百田夏菜子、玉井詩織のキャラクターは生き生きと命を持っていて、まるで実在する自分の同級生に思えた。佐々木彩夏はかわいい後輩。控え目だけれど、揺れ動く思いが伝わってくる。圧巻だったのは有安杏果のカラオケボックスでの告白の場面。有安はそれまでも疎外感や孤独感をうまく表現していたが、その場面では彼女の感情が胸に迫ってきて、はからずも涙がこぼれた。

 5人はキラキラ輝いていた。そして、幕が開いている間、私は着実に舞台上の一員の高校生になっていた。

 ももクロに謝りたかった。

 5人が歌やダンスで全力で頑張るスーパーアイドルなのはわかっていた。だが、こんなに才能と表現力にあふれていたなんて、知らなかったのだ。

 ストーリーの本筋を表現する力はもちろんのこと、小さなしぐさやせりふも見逃せなかった。部長役の百田が演劇の練習の場面で「もっと○○に」と要求すると、出演者が即座にニュアンスを変えた表現をする。これができない人は実は多い。間の取り方なども見事だ。

 ある男性タレントさんと雑談をしていて、この作品の話になった。友人が出演しているため見に行ったという彼も、「すごかった。よかった」と大絶賛していた。

 アイドルとして第一線を走っているももクロ。きっとまだまだ隠れた才能があるに違いない。映画の方も見てみよう、と思った。

 チケットは完売しているが、24日の千秋楽は映画館でライブ・ビューイングが行われる。モノノフ以外の人も必見だ。

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