オリラジの“新しい笑い”を分析

 オリエンタルラジオが「PERFECT HUMAN」で再び大ブレークしている。オリラジの2人が率いるユニット「RADIO FISH」の楽曲として発表され、藤森慎吾の軽快なラップと中田敦彦の切れの良いダンスと、完成度の高いパフォーマンスが話題となった。YouTube公式動画の再生回数は1900万を超え、音楽配信サービスiTunesでも総合1位を獲得。さらに音楽番組でもトリを飾るなど、その勢いはとどまるところをしらない。その一方で「これはお笑いなのか?」という声も上がっているがハイヒール・リンゴは「新しい笑い」と認めた上で、彼らの笑いを分析した。

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 オリエンタルラジオの「PERFECT HUMAN」は全然ありやと思います。素直に格好いい。この2人は頭がいいですね。「ENGEI グランドスラム」のときは岡村君の「もうええねん、もうええねん」という突っ込みまで含めて成立してた。でも「ミュージックステーション」に出演したときは、もちろんそんな突っ込みもなくてやりきった。歌詞はきちんとネタになってるし、こういうお笑いがどんどん出てきたらええと思う。もちろん私たちお笑い仲間にも刺激になる。ハイヒールは歌ネタと物まねができないんですけど、藤森君は歌がうまいし、中田君もダンスがキレッキレでうまいし、なんでも突出してやるっていうのはいいのかな。

 以前、中田君が武勇伝のころの話をしてたことがあった。テレビの番組で、武勇伝だから柔道着のようなものをを着てやって欲しいというオファーがあったらしいけど、断っていつもの格好でやったそうです。その柔道着を着なかった理由が「視覚的に覚えられてしまうと、キャラクターみたいになってしまうから」ということだった。まだ新人なんで、聴覚的なネタでこうしてああしてっていうのは取り入れるけど、視覚的にはキャラクター化することは絶対にしなかったって。

 リズムネタで“キャラクター化”したら、その後は苦戦すると先を見据えていたんですね。リズムネタだからどうしてもネタも全部覚えられて、視覚的に固定してしまったら、それで終わるって。中田君にはお笑いの理論がある。頭のええ子やなと思いましたね。もちろん相方の藤森君も「あっちゃん格好いい」をキャラクター化することなく、やり通した。

 藤森君もチャラ男のキャラクターでブレイクして、この「PERFECT HUMAN」でまたブレイクして。彼らの考えているお笑いには「格好いい」が入っている。私たちのやるお笑いはどこか昭和なんですけど、彼らはそうじゃない。このまま行ってほしい。最後に笑い取って終わるっていうのは、もう古いんかもしれませんね。

 東京でピークから一回落ちてまた出てくるのは時間がかかるんですよ。大阪は温かいんで、結構なんやかや仕事あるんですが。東京は売れて仕事が増えるのも早いけど、無くなるのも早い。2人は凄い才能がある。普通に歌うまし、普通にダンスうまいし、普通に格好いい。

 ダウンタウンの松本君も漫才もコントもやるし、漫才ももちろんやるし。それをお笑いを視覚化したものとして映画を作るわけじゃないですか。それでもお笑いでしょ。お笑いの心を忘れてなくて、特化していく。例えば映像化するというのもそのひとつ。松本君をはじめ、木村祐一君もそうやし、板尾創路君も頭の中の面白いものを映像化している。才能のひとつを特化していく作業がこれからは必要になってくる。そうじゃないとお笑いの世界は生き残れない。今回のオリラジは格好いいダンスと歌。R-1で優勝したハリウッドザコシショウもそうやし、従来のお笑いって枠に収まるんじゃなくて、いろんなお笑いがあっていいと思う。

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