【野球】なぜ?阪神・村上のスローカーブ&大竹のスローボール 左右の両輪が誇る100キロ未満の遅球の狙い 野球未経験者の一言から

 4月27日のヤクルト戦の7回、大竹(左)が2球目に投じたスローボールをファウルにし、苦笑いをするサンタナ
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 150キロ台のボールが当たり前の時代にあって、阪神の先発ローテを支える大竹耕太郎投手(28)、村上頌樹投手(25)の2人が時折投じるのは、100キロ未満の遅球だ。球種としては、大竹がスローボールで村上はスローカーブ。打者の目線を変えるだけの見せ球ではない。遅い球を配球に組み込ませる意図、経緯に迫った。

 山なりのボールが球場をざわつかせる。球速100キロに満たない遅球。決して、見せ球ではない。試合を組み立てていく中で、必要とされる球種になっている。

 大竹の球種はスローボール。4月27日のヤクルト戦(甲子園)では、七回1死からサンタナに対し、79キロの遅球を投じた。結果はファウルとなり、助っ人は思わず苦笑い。その後、右前打を許したが、印象を残す1球となった。

 このスローボールを投じる狙いについて、こう明かす。「打席に入るようになって、150キロが出ていてもストレートしかないと分かっていたら、僕でもバットに当たると思う。そこにいい変化球があれば、その球種が頭の中にちらつくというか。それが遅い球だったら、遅い球が頭の中にあって、真っすぐに対応しようとすると、差されると思う。打席で感じたものをそのまま投球に反映している」と説明した。

 きっかけの一つには、野球を経験したことがない友人の声もあった。「『なんで遅いストレートを投げないの?』と聞かれた時に、野球していたら当たり前だけど野球してなかったらそういう発想があるんだと思わされた」と新たな引き出しが生まれ、取り入れたという。

 もう1人の遅球の使い手でもある村上の球種は、中学時代に初めて覚えたというスローカーブだ。球速は80キロ台と100キロ台の2パターン。「ストライクゾーンに投げることを意識しています。ストライクゾーンから外れていたら、打者は意識もしてくれないので。スローカーブでストライクが取れたら、投球も楽にもなりますし。打者にインパクトを与えることができる」と話す。

 150キロ超の速球を投げるのは、当たり前のようになっている時代。打者のタイミングを外すためには、より緩急が必要と考える。遅球には「打ち気をそらすとか。狙いを定められないように、目線を変えたり」という狙いもあると村上。有効に使うことで、直球だけでなく、他の変化球も生きてくる。

 阪神の先発ローテを支える2人。今季ここまで、大竹は6試合に登板し、3勝2敗で防御率3・82。村上は6試合に登板し、2勝2敗で防御率0・88と抜群の安定感を誇る。飽くなき探究心がある限り、両腕はまだまだ進化を続けていく。(デイリースポーツ・井上慎也)

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