【野球】なぜ今年の中日はこんなに強い?2年連続最下位に甘んじた昨年までとの違い 首位を快走するワケを評論家が解説

 「中日5-2阪神」(13日、バンテリンドーム)

 春の珍事とは呼ばせない。中日が六回に一挙4得点を奪う集中攻撃で2点のビハインドをはね返し、立浪政権初となる引き分けを挟んで6連勝。今季最多を更新した貯金5は、2020年以来4年ぶりとなった。

 6連勝の内訳を見てみると、白星が全て先発投手についている。これこそが強いチームの証し。先発投手が相手打線をしっかり抑え込み、打線も先発投手が力投している間にきっちり援護点を挙げているという歯車のかみ合いを示している。

 6連勝の最初の白星となった5日・広島戦では、自身初の開幕投手を務めた柳が7回無失点。打線は柳が7回を零封した八回に決勝点を奪った。6日の同戦では涌井が七回途中無失点。打線は六回までに4点を重ねた。7日の同戦でもメヒアが7回零封し、五回に得た1点の援護を死守した。

 9、10日のDeNA戦でも小笠原、松葉がそれぞれ1失点と好投し、打線は先制点を奪って両投手がリズムに乗りやすい試合展開を整えた。

 12日の阪神戦でも柳が7回無失点と完璧に抑え込み、打線も四回に先制点を奪うと、六回にも村松が適時打。救援投手の乱調で柳の勝ちこそ消えたが、引き分けでチームは負けなかった。13日の同戦ではメヒアが初回に2点を失ったが、その後は粘り強く無失点を続け、六回の逆転劇で2勝目を手にした。

 元阪神監督の藤田平氏は「去年までも投手力は他球団と比較しても遜色なかったけど、打線の援護に恵まれず勝ちが付かなかったケースが多かった。先発投手4人が2桁敗戦したようにね。それが今年はきっちり勝ち投手になれている。これはチームが乗っていく形」と指摘した。

 打線に目を移せば、昨年までは好機を多く整えながら、決定打を欠くシーンを何度も見てきた。だが、今年は好機で相手が前進守備を敷かなかった状況下で、内野ゴロの間に得点を挙げたり、派手さはなくても相手に後々ダメージが襲いかかるような形で1点を奪うといったシーンをよく目にする。

 藤田氏は「去年まではチャンスの場面で逆に攻撃している側が力んで、打てないボールに手を出して得点を奪えなかったというケースが多かったけど、今年は打つべきボール、打てるボールに対してしっかりスイングができている。これこそがチャンスでの得点が増えている要因なんだろうと思う」と解説した。

 また、昨年までの違いとして、4番に座る中田翔の存在がある。藤田氏は「中田が4番にどしっと構えていることで、打線にリズムが生まれている。相手投手のマークが中田にきつくなることで、逆に3、5番への制球が甘くなるパターンも多い。中田の加入がもたらした効果は大きい」と語った。

 加えて、契約最終年の迎えた立浪監督の采配にも変化が見られるという。「去年までのように、自分の強いこだわりに固執しなくなってる。投手継投にしてもそう。適材適所、セオリーに従って、みんなが納得できるような起用になってる。12日の阪神戦では2番手の勝野が八回に同点に追いつかれたけど、あれも今年の継投パターンを踏んでのものだし。チームとしての戦い方がはっきりしてきたという点が大きいと思う」とここまでの好調の要因を分析した。

 勝利を積み重ねることで、チームの一体感が得点シーン、立浪監督、選手の表情にもにじみ出る。2011年以来、13年ぶりのリーグ優勝へ-。戦いはまだ始まったばかりだが、長らく優勝を味わっていないファンの期待感は日増しに膨らんでいる。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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