【野球】阪神ファンが気になる助っ人ロサリオの現在地

 愛されていた。いや、過去形にしてはいけない。今もなお、愛されているのだから。

 熱心な阪神ファンの方が気になるのは、ウィリン・ロサリオ内野手(29)の現在地ではないだろうか。開幕から一向に調子の上がらない新助っ人は、8月27日に2度目の降格。大きな期待を背負い続けながら、シーズン終盤戦に入ってももがき、苦しみ続けている。眠たい目をこすりながら、それでも2軍からの逆襲を誓っていた。

 昇格を目指して鍛錬に励む若虎との日々。1度目の抹消となった44日間。ロサリオは原点に立ち返っていた。

 「野球を楽しもう」

 思いは行動として表れる。再降格後もそのスタイルは変わらない。観衆全ての関心をさらい、視線を釘付けにした。9月11日のウエスタン・オリックス戦(鳴尾浜)で、どっと起こった爆笑劇。“犯人”はロサリオだった。試合前にメンバー表を交換するため、オリックスの田口2軍監督が審判団の元へ。少し遅れて、今度は阪神の矢野2軍監督が…と、思いきやここでロサリオが登場した。審判団との握手まで交わした後、本家・矢野2軍監督が苦笑いしながら止めに入ると、スタンドは笑顔に包まれた。

 「試合でホームランを打って活躍するっていうことだけではなくて、それ以外のことでもファンの方を喜ばせられることをしたいと思って。自分が楽しんでやっていることは、ファンの方も楽しんでみてくださると思う」

 1度目の抹消に、CS出場へ追い込むラスト1カ月を目前での2軍行き。日本の環境に対応しきれず、味わったむなしさや悔しさ。様々な感情が押し寄せる日々を送っているが、気づいたこともあった。「1軍だけではなくて、2軍でもこうやって応援してくれるファンもいてくれる」。ロサリオのタオルを掲げ、その活躍に祈りを捧げる人たちがいる。変わらない声援に感謝をした。

 「期待に応えたい」

 矢野2軍阪神は、現在ウエスタン首位を走る。2位・ソフトバンクとはゲーム差4。そして19日からは直接対決を迎えるのだ。「ホークス戦は、全力で打つよ」。宣言した覚悟の中には、まだまだ消えない熱い気持ち。このままでは終わらせない。2度目の再昇格へ。このままでは終われない。いや、このままでは終わらせない。(デイリースポーツ・松井美里)

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