【芸能】見せつけられた蒼井優の底力 同時期の映画、ドラマ3作品で

 「彼女がその名を知らない鳥たち」の蒼井優=(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
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 この秋、ちょっとした蒼井優ブームが来ている。いきなり断言してしまったが、日本テレビ系ドラマ「先に生まれただけの僕」(土曜、後10・00)が14日にスタート、出演作品の「ミックス。」が21日公開、そして主演映画「彼女がその名を知らない鳥たち」が28日公開と“毎週蒼井優”状態なのだ。主演、助演の違いもあり、映画は撮影から公開までに間が空くこともあるため、たまたまタイミングが重なったのだろうが、演じているキャラクターはそれぞれまったく異なるもの。それなのに、どれをとってもその人物に見えてしまうのだから、あらためて、蒼井の女優としてのスペックの高さを見せつけられた気がした。

 「先に生まれただけの僕」ではメガネをかけたお堅い雰囲気の現代社会の先生。嵐の櫻井翔が演じる、商社から出向してきた新校長に不信感を抱き、対立しながらも次第に影響を受けるという役どころで、3作品の中では、唯一の“ちゃんとした人”だろう。まずは「ツン」でスタートしたが、後半に「デレ」があるのかが見どころだ。

 「ミックス。」では新垣結衣演じる主人公が通う中華料理店のおかみさん役。森崎博之演じるコックの張とともに店を切り盛りする楊という中国人女性を演じている。怪しげな日本語で話し、料理を雑にテーブルに置く、しかし、実はとんでもない実力の持ち主という設定。出番は決して多くないが、しっかりとふざけて笑いを取るおいしいポジションを、きちんとバカバカしく演じている。

 そして主演作の「彼女がその名を知らない鳥たち」(通称「かの鳥」)。15歳上の男・陣治(阿部サダヲ)と暮らしながらも、8年前に別れた男・黒崎(竹野内豊)のことが忘れられずにいる女・十和子を演じている。働きもせず、レンタルビデオ店やデパートに毎日のようにクレームを入れ、陣治に寄生するように生活する…。見ている側がイライラさせられるような見事ないやな女っぷりを披露している。

 同作ではかなり激しいぬれ場にも挑戦しているがこちらの迫力も十分だ。白石和彌監督は「性的な表現で断られたらしょうがない」とオファー。蒼井は30代女優らしい艶をしっかりと披露した。

 全編通して大阪弁を使っているが、関西出身の記者が見ても全く言葉の違和感を感じなかった。正直、映画やドラマ、アニメも含めて関西以外の地域出身の俳優・女優が大阪弁を使い、ほぼ100%の確率で興ざめさせられていたが、「かの鳥」の蒼井は違っていた。

 物語の後半は思わぬ展開になるが、並の女優ならこの振り幅だけでも演じきれないだろう。それを大阪弁で演じてしまうのだから、恐れいる。1本の作品の中でさまざまな表情を見せ、さらに同時期の3つの作品でも全く違うキャラクターを演じ分ける。演技力には定評のある蒼井だが、やはりその実力は底知れない。

 10月も中旬となり、本格的な秋を感じると、そろそろ映画賞の季節でもある。11月後半から翌年の2月末ごろまでに主な映画賞のノミネートや受賞が発表されるのが日本の映画界の通例だ。現時点では記者の中では、蒼井優に本命の印が付いている。(デイリースポーツ・澤田英延)

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