【スポーツ】織田信成 指導者として、父として、終わらない“信成の野望”

 すっかりその道のプロになっていた。今月、プロスケーターの織田信成(29)が出席したアイスリンクのオープニングイベントとスケート教室を取材にいった。オープニングでは、まず本職の演技で魅了。コブクロ「蕾」にのせて、しっとりとした演技を披露すると、そこからはお茶の間でもお馴染みとなった軽妙なトークで沸かせた。

 司会者から「さすがの演技ですね」と振られると「ですよね~。切れ味抜群でしょ!」と、自画自賛。押さえるポイントは押さえつつ、盛り上がりが欲しいところではしっかり笑いを取る。13年12月の引退から3年。いまやテレビで見ない日はない人気者はイベント後「いや~、なんかこういうことばっかり上手くなっちゃって」と笑いつつ、「最初は色々迷惑を掛けることも多かったけど、最近はどういうことをスタッフの方が求めているか理解できるようになってきた。今は楽しんでやれてます」と、明かした。

 一方で、そんな多忙な中でも自身の夢に向けて、しっかりと足場を固めている。マネジメント担当者は「本人はいつかはしっかりとコーチの道に進みたいという意志を持ってる」と話す。現在は母校関大のアイスリンクで母憲子さんのアシスタントコーチとして後進の育成にも尽力。小学1年生から大学生まで20人前後を指導している。「いつかは五輪に出るような選手を育てたい」。普段の温厚な姿からは想像できないが「僕は結構スパルタで厳しいですよ。わ~っていう時もある。みんな本気で上手くなりたいと思っているから、僕も本気。結構バチバチやってます」と、意外な指導スタイルを明かした。

 3人の息子たちも、その夢を託す存在だ。6歳となった長男と、4歳の次男はすでにスケートを始めており、織田自身が基本から教えている。指導に熱が入ってしまい、泣かしてしまうこともあるそうで「僕じゃなくて羽生くんに憧れてます」。昨年誕生した三男にはお腹にいる時から、羽生結弦の演技を見せるようにしていたという。3人の息子への思いを聞かれると「できればみんな五輪に行って欲しい。上の2人はスケートが好きといってくれてるので」と、父親の顔で話した。

 引退の際には、先祖の織田信長の句にならって、「鳴かぬなら、泣きに泣きます、ほととぎす」と、涙に彩られた自身の競技人生を振り返った織田。次はキス&クライで教え子や息子たちと涙を流す日がくるか。終わらない“信成の野望”から目が離せない。(デイリースポーツ・大上謙吾)

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