【ライフ】岡山の秘湯、湯原温泉の魅力

 気象庁によると、この冬は6年ぶりの暖冬になるという。それでもこの季節、恋しくなるのが「温泉」。そこで温泉マニアと自称する筆者が、これまで巡った秘湯のなかで選りすぐりの湯を紹介していきたい。今回は岡山県の湯原温泉にスポットをあてる。

   ◇    ◇

 混浴露天風呂「砂湯」のある湯原温泉は、温泉評論家の野口冬人が「西の横綱」と評価した秘湯だ。美作三湯(湯原、湯郷、奥津)の中でも、最も野趣があふれ、この1年に筆者は大学2年の息子を含む家族で2度訪れた。正月は雪の積もる中。春は桜の花がほころぶころ。四季の違いで露天風呂から見る景色は大きくその表情を変える。それが日本のいいところで、日本人で良かったなあと思う瞬間だ。

 砂湯に夕食後出掛けた。巨大な湯原ダムの下に湧く露天風呂の東側にある脱衣所に、男女別ロッカーが設けてあるが、そこから湯船まで歩くのに昼間は女性は勇気がいることだろう。なぜなら、囲いが全くないからだ。

 正月はさすがに人が多い上に先客が長湯して入る隙間も少なかったが、岩で囲まれた3つの湯船があるうちの一番北側にある、子宝の湯に入ることが出来た。訪れた日は、若い女性グループが脱衣所に一番近くて泉温の一番高い長寿の湯に入浴していて、男性の私が面食らったほどだ。24時間いつでも入浴できる上に、湯あみ着の貸し出しも行っているせいか、以前にも増して夜は女性が多くなったと思う。

 足場を敷き詰めた目の粗い砂が、温泉によって噴き上げられることが砂湯の言われか、確かめながら湯船に冷えた体をうずめると、これ以上ない開放感に何もかも忘れた。泉質はアルカリ性単純温泉で、pHは9を超える。ちなみに、子宝の湯とつながって、その南側にあるのが、泉温の一番低い美人の湯だ。

 しばらくすると、自転車で旅行中というニュージーランドの男性が入ってきたので、片言の英語で息子に助けてもらいながら会話をし、湯に浸りながら楽しい時間を過ごせた。大きなお世話かもしれないが、先に上がって行った彼が、どこに泊まったのかが心配でならなかった。

 昼間に温泉街の南にある入場無料の「はんざきセンター」を訪れた。半分に裂かれても生きているという生命力の強さから「はんざき」と、この地方では言われるオオサンショウウオが飼育されていて、泳いでいる姿はとてもかわいいものだ。「はんざき」の山車もあって、祭り好きの私の血が騒いだのはいうまでもない。

 大阪から中国道と、米子道を使えば3時間弱で着ける湯原温泉。宿泊施設も約15軒あり、1泊2食付きで1万円以下で泊まれる宿も多く、値段も手頃。

 「砂湯」は入浴料も駐車料も無料で昔から変わらない。入り口の看板に書いてある入浴マナー5箇条(禁酒、禁煙、騒がないなど)をしっかり守って、後世に残したいものだ。

(デイリースポーツ・柴田直記)

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