村井チェアマンも認識?J芸人の熱い夜

 3月7日、23年目となるJリーグが各地で開幕を迎えた。熱狂が冷めやらぬ3月10日、Jリーグフリークたちの熱い戦い「芸人Jリーグナイト」も、阿佐ヶ谷の地下で人知れずキックオフした。

 会場に一歩足を踏み入れると、さっきまでは普通の人だった“隠れJリーグ党”たちが、それぞれひいきチームのユニホームを着込んでスタンバイOK。間もなく、Jリーグ好きの芸人やミュージシャンらが登壇し、今季の展望について明るく、楽しく、激しく、舌戦を繰り広げた。

 今季も広島からFW石原を獲得するなど、大量補強を行った浦和。サポーターの中澤寛規(GOING UNDER GROUND)は、「チャリティーマッチのようなメンバーで、(浦和サポーターの)自分でもよくわかりません」と、会場中の冷たい視線を察知し、自虐的にあいさつした。

 同じ埼玉の大宮サポーター、今野浩喜(キングオブコメディ)が「FWズラタンを返してもらっていいですか」とけん制すると、広島サポーター、山根良顕(アンガールズ)は「ここ(広島)で育ったら浦和に吸い取られる」と、リーグ一の“ヒール軍団”を“口激”した。

 一方で、今季は“ベビーフェイス”にも注目が集まる。今季からJ1に昇格した松本山雅だ。この日も参加者の中に松本サポーターがいることがわかると、会場中が拍手喝采。昨季J2で平均入場者数トップ(1万2733人)に立った地元密着クラブは、J1でも台風の目になれるか。

 ハーフタイムを挟み後半には、サポーター視点からの問題提起も行われた。中でも、今季からJ1で11季ぶりに導入された2ステージ制については、筋金入りのJリーグ党たちも戸惑いを隠さない。

 「結局、『誰がいちばん強いんだ?』ってなる。高田延彦に聞けばいいのかな?『いちばん強いやつ、出てこいや』って」(今野)

 今季は、第1、第2ステージの各優勝クラブと、年間勝ち点上位3クラブの最大5チームがトーナメント形式で戦い、年間優勝を決めるというもの。そもそも制度がわかりづらい上に、年間勝ち点1位チームが同下位チームに敗れることも想定される短期決戦での「年間王者」に、どこまで“重み”を持たせることができるかは未知数だ。

 今野は「プロ野球のプレーオフも、なんだかんだ言われて結局盛り上がっている」と前向きに捉えたが、このイベント参加者のように普段からJリーグを観戦してるサポーターですら理解し難く、納得し難い制度には、今なお疑問符がつく。

 実はこのイベント、村井満チェアマン本人からも存在を“認識”されているという。

 「『公認』ではないけど、チェアマンもこのイベントを知っていて『来たい』と言っているらしい」(小林)「呼んでどうすんだ?苦手なオーナーを聞くとか?」(ゆってぃ)

 リーグの最高責任者とJリーグ芸人たちの激突が実現すれば、どのような化学変化が起こるのか。日本サッカー史に、新たな1ページが刻まれるかもしれない。

 次回は第1ステージ終了後の夏頃に開催予定だという、このイベント。スポーツを見る楽しみはスポーツを語る楽しみでもあると、改めて再認識した次第だ。記者として、舌戦のガソリンとなるニュースを現場からアシストしていきたい。

(デイリースポーツ・藤川資野)

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