海外馬券販売へ越えるべきハードル

 先日、競馬ファンにとって喜ばしいニュースが報じられた。国内の競走馬が出走する海外のレースを、日本で販売可能とする競馬法改正案を政府が作成。次の通常国会に提出する見通しであるというものだ。

 要は凱旋門賞やドバイや香港の諸競走で、日本馬の馬券を握りしめながら応援できるようになる。大きな一歩を踏み出したことは間違いない。

 しかし越えるべきハードルは決して低くない。日本で独自にオッズを設定するようだが、日本馬に票が集中することは明らか。ギャンブル性は低く、異常なオッズが発生する可能性は相当高い。また、海外レースは地上波ではほとんど放映がなく、ライブ観戦を求めるファンは競馬専門のグリーンチャンネルへの加入が必要と思われる。配当はギャンブルの基盤であり、レース実況は競馬の生命線。いちファンとして、この2点はしっかり煮詰めてほしい。

 記者目線としては恐らく取材の問題が発生するだろう。昨年は凱旋門賞でフランスへ行ったが、取材の範囲は相当制限された。海外での調整とあって、出走各馬の陣営が神経質になるのは分かる。ただ馬券を売る以上、ファンに確かな情報を提供する義務が我々にはある。日本のみならず、現地の関係者から果たして理解を得られるのか。自由な取材はどこまで可能か。これまた、微妙な問題と言えよう。

 紙面づくりは面白さを増すに違いない。従来、どのスポーツ紙も日本馬の応援を前面に出していたが、今後は外国馬を熱心にピックアップして馬券的な興味をあおる社も現れるだろう。レース当日の紙面も「ハープスターが決める」と応援込みの見解ではなく、「トレヴの連覇」「アヴニールセルタンが軸」という見出しが躍る可能性も。日本馬の陣営からは批判を受けるかもしれないが、それはそれで個性的だ。

 取材、紙面とも横並びではつまらない。マンネリ化の打破は、記者としてワクワク感を覚える。

(デイリースポーツ・豊島俊介)

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