本田翼が放つ“無欲”の力

13日、初日あいさつに登場し客席に手を振る本田翼
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 映画の公開前に、出演者がテレビ番組や雑誌を“ジャック”する-。すっかり王道となった“番宣”(番組などの宣伝)手法だろう。最近でいえば、映画「アオハライド」の本田翼が連日のようにテレビにはしご出演し、書店を彩った。その甲斐あって、配給の東宝が、公開初日の13日に早々と興収20億突破確実と発表する好スタート。映画全体で200媒体以上、本田が関わったものだけでも、その半分以上の取材や収録を行ったという。宣伝を通じて見えてきた本田の魅力は“無欲さ”だ。

 原作は累計930万部を売り上げる少女漫画で、劇中で演じたのは、主人公の吉岡双葉。悩みながらも突っ走る、間違ったって前に進む…といった猪突猛進型の高校生だ。作品では「青春(アオハル)に乗る(ライド)」の造語タイトル通り、おじさん世代でも胸キュンする学園ドラマが描かれていく。

 映画のキャッチコピーは「青春は、いつだって間違える。」。三木孝浩監督いわく、主人公のこの“間違える”感じが、本田にハマったという。「ホットロード」の能年玲奈や「僕等がいた」の吉高由里子ら、旬の女優を銀幕に映し出してきたヒットメーカーが明かす。

 「(本田は)一瞬一瞬で表情が変わる。ひとところにいない。常に先に先に行っているところがあって、(その結果)失敗する感じがすごくキュートなんです。双葉はハマり役。青春は間違えるじゃないけど、一生懸命にやって、ダメで、泣いてしまう、みたいな失敗している姿を見て、親近感の沸くキャラクターが魅力なんです」

 つまり“考えるより先に本能で動くタイプ”というわけで、欲が先行しない性格なのだ。自分でも「登場キャラクターなら双葉が似ている」と自覚しているし、共演の東出昌大も「普段から双葉っぽい」と証言している。

 考える前に…が顕著なのが、バラエティー番組に出演した時だった。TBS系「A-Studio」の笑福亭鶴瓶、フジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげでした」のとんねるずら、大御所との絡みで“通常運転”のタメ口を連発。これで変な空気になるかといえば、そうならないところが本田の武器で、とんねるずはすっかりデレデレ。石橋貴明が「今年1位です」と絶賛したほどだ。

 記者も、青春時代について聞いた時、あっけらかんとした本音が飛び出して驚いた。「(高校3年間は)バイト三昧。部活に入る意味が分からないってタイプでした。『陸上部に入って、食っていけるの?』って。何も生み出さないものじゃないですか?バイトと違って、お金をもらえない」と、ぶっちゃけた。

 14歳からモデルとして働いていたからこその独特な表現だが、包み隠さない“本田節”は、当たり障りない返答をされるよりはずっと好感が持てる。

 発言1つとってみても「間違うこと」=「誤解されること」を恐れず、我が道を行く性格が分かる。今後の女優業について聞くと、「やりたいことにしか興味ないんですよねぇ。(例えば)時代劇は言葉遣いが大変そう。別の素晴らしい役者の方がいますし、って思っちゃう」と“我ながら困ったものでして…”といった表情をしたので笑ってしまった。

 もちろん、賛否は分かれるだろうが、どこまでも飾らず、天真らんまん。誰かに好かれようとか嫌われたくないといった“欲”のなさが異端の魅力となっている。モデル出身の美女と聞けば、ツンとした印象を受けるが、ところがどっこい対極の存在なのだ。

(デイリースポーツ 古宮正崇)

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