【オピニオンD】サプライズは少なめか?日本代表アジア杯メンバー

 ハビエル・アギーレ監督(55)が率いる日本代表は18日のオーストラリア戦で2-1の勝利を収め、2連勝で年内最終戦を締めくくった。今後は来年1月にオーストラリアで開催されるアジア杯に向け、まずは12月上旬にアジア・サッカー連盟(AFC)へ提出する登録メンバー50人を決定し、同中旬に最終メンバー23人を発表。同29日から年明け2日まで国内合宿を開催する予定だ。

 新体制ではこれまで追加招集も含め39人が招集されたが、アギーレ監督が5日の代表メンバー発表会見で「チームのベースは頭の中にあり、80~90%決まっている」と話したように、アジア杯に臨む主要メンバーはほぼ固まっている。概ね1ポジションに2人の選手を招集してきた指揮官の手法から見える23人のアジア杯日本代表メンバーとは?

 GKは9月から3カ月連続で招集された川島永嗣(スタンダール)と西川周作(浦和)が当確だ。川島は9月9日のベネズエラ戦で痛恨のパンチングミスで失点。10月14日のブラジル戦では4失点を喫するなど安定感を欠いているが、ブラジル戦でキャプテンマークを巻くなど指揮官の信頼は厚い。5試合計441分間出場しており守護神の座は揺るぎそうもない。

 西川は初先発となった10月10日のジャマイカ戦を無失点に抑えたが、ここまで2試合計99分間のみの出場となっている。第3GKは3人の争いとなる。9月は林彰洋(鳥栖)、10月は権田修一(FC東京)、11月は東口順昭(G大阪)がそれぞれ招集されたが、そろって出場機会を与えられていない。GK最後の1枠は前体制から代表に定着している権田が優勢か。

 CB(センターバック)は森重真人(FC東京)と吉田麻也(サウサンプトン)が当確。森重は6試合全てに先発出場し計539分間と現体制最長のプレー時間を誇る。18日のオーストラリア戦では岡崎の得点をアシスト。アンカーでの起用も可能で指揮官にとっては代えのきかない存在だ。

 CBの3番手は塩谷司(広島)か。吉田が負傷辞退した10月は森重の相棒として2試合にフル出場した。代表初出場となったジャマイカ戦ではアギーレジャパン初の無失点勝利に貢献。試合後、指揮官は「パーフェクトなゲームをプレーした」と評価した。4番手にはベネズエラ戦にフル出場した水本裕貴(広島)か昌子源(鹿島)が有力。昌子は負傷で辞退した10月に引き続き招集されたことから期待の高さが伺えるが、出場機会は与えられていない。

 SB(サイドバック)は内田篤人(シャルケ)、長友佑都(インテル・ミラノ)、酒井高徳(シュツットガルト)が当確だろう。アギーレ監督の熱望により、11月にブラジルW杯以来の代表復帰を果たした内田はホンジュラス戦にフル出場し存在感を発揮した。

 長友は左ふくらはぎを痛め11月は招集されず。ジャマイカ戦で致命的なバックパスのミスを犯すなど本調子とは言えないが実績では抜きん出ている。酒井高は左右両サイドをこなせるのが強み。内田が右膝に不安を抱えているだけにその存在は大きい。残る1枠は太田宏介(FC東京)か。貴重な左利きSBが繰り出すクロスの質は高く、オーストラリア戦で武藤に合わせたクロスはオフサイドとなったが可能性を感じさせた。

 激戦区のアンカーは主将に任命された長谷部誠(フランクフルト)が筆頭候補か。9月の代表合宿は左膝違和感で離脱したが、満を持して初先発したホンジュラス戦では攻守に質の高いプレーを披露、オーストラリア戦もフル出場した。

 残る1枠は細貝萌(ヘルタ)と今野泰幸(G大阪)の争いとなりそうだ。9、10月と招集され4試合に出場しながら11月は外れた細貝。アギーレ監督は5日の会見で細貝について「直に見てよく分かった」と話したが、この発言を当確と見るべきなのか、指揮官の真意は定かではない。

 11月に初招集された今野はオーストラリア戦の後半から2ボランチの一角として途中出場。鋭い出足からのボール奪取など適性を発揮した。代表では約3年ぶりとなるゴールも決めるなど最初で最後のチャンスでアピールに成功した。

 インサイドハーフは遠藤保仁(G大阪)、香川真司(ドルトムント)、柴崎岳(鹿島)は当確。11月に初招集された遠藤はホンジュラス戦で初先発すると、最初のセットプレーとなったCKから先制点をアシスト。自らも代表5カ月ぶりのゴールを決めた。中盤であらためて絶大な存在感を示し、柴崎から定位置を奪った形となった。

 不動の存在の一人でもある香川だが、ゴールから遠ざかっている。オーストラリア戦では試合途中から得意のトップ下でプレーしたが不発。自己ワーストタイとなる代表6試合連続無得点となった。「チャンスを決め切れなかった」と試合後も表情は冴えなかったが、アジア杯連覇には10番の復調が欠かせない。10月に追加招集されて以来、コンスタントに出場機会が与えられている田口泰士(名古屋)だが決定的なアピールには欠ける。アンカー候補の細貝はベネズエラ戦では右インサイドハーフでプレーした経験もあり、残る1枠となる可能性もあり得る。

 CF(センターFW)は岡崎慎司(マインツ)が不動。アギーレジャパン初戦のウルグアイ戦は右FWでの先発だったがその後CFに定着。オーストラリア戦では待望の新体制初ゴールも決めた。残る1枠に選ぶのは長身FWか。9月に皆川佑介(広島)、10月にハーフナー・マイク(コルドバ)11月に豊田陽平(鳥栖)と立て続けに長身FWを招集したが、皆川はわずか58分間の出場のみ。ハーフナーに至っては出場機会すら与えられなかった。豊田は途中出場したホンジュラス戦で1ゴールと結果を残し一歩抜け出した。

 右FWは本田圭佑(ACミラン)、左FWは武藤嘉紀(FC東京)が当確だ。本田はホンジュラス戦で1得点2アシストを含む5得点に絡む活躍。新体制でも絶対的な地位を築いている。ホンジュラス戦ではブラジルW杯メンバー以外でただ一人先発出場した武藤は左FWのレギュラーとして定着した。ただ、直近4試合でゴールがなく、11月2連戦はいずれも途中交代を命じられた。代わって入った乾貴士(フランクフルト)が2得点とインパクトを残し、左FWの有力候補に躍り出た。

 右FWでは小林悠(川崎)が10月2連戦で出場機会を得ていたが、11月の代表合宿で左膝を痛めて離脱。最後のアピールチャンスを失った。9、10月と継続して招集されていた柿谷曜一朗(バーゼル)だったが、11月は招集外。左FWとCFもこなせる器用さは魅力だが、所属クラブで出番に恵まれず苦しい戦いを強いられている。

 アギーレ監督は「複数のポジションをこなせる選手を探す」とも話しており、ユーティリティー性が選考に影響を及ぼす可能性もあるが、いずれにしてもサプライズは少なそうだ。

(デイリースポーツ・山本直弘)

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