次代の日本代表を担う神戸DF岩波

 次代の日本代表を担うセンターバック(CB)として期待されている神戸DF岩波拓也。186センチと長身ながら足元の技術は高く、右足から繰り出されるロングフィードは抜群の精度を誇る。

 U-21日本代表として韓国・仁川で行われたアジア大会に参加した岩波は、準々決勝で韓国に敗退するまで、不動のCBとして全5試合に先発出場を果たした。特に韓国戦のパフォーマンスは出色で、空中戦にはほぼ完勝して制空権を握り、地上戦でも激しいコンタクトで宿敵相手に一歩も引かなかった。

 どちらかといえばクレバーな守備をするイメージのあった岩波だが、アンダー世代とはいえ、十分に“戦闘能力”の高いCBであることを証明した。アジア大会を終えて帰国した岩波は「何試合分もの経験値を得られた。ヘディングや球際の部分でもある程度やれた」とはっきりと手応えを口にしていた。

 岩波にとって忘れられない試合がある。J2だった昨季、開幕から無失点の3連勝で迎えた3月20日の第4節京都戦だった。前半2分に先制を許すと、同22分にゴール正面で京都FW原(現北九州)と1対1になった岩波は、弾き飛ばされるように突破を許しミドルシュートを決められた。

 「自分はこんなに体が弱かったのかと恥ずかしかった」

 プロ1年目のシーズンを終えた昨年11月、岩波は悔しさをにじませ振り返った。DFとしての誇りを打ち砕かれ、筋力トレーニングで肉体改造に励み、昨季開幕前に72キロだった体重は78キロまで増加したという。現在も公称では72キロだが、その体格は明らかに強靱さを増している。18日のJ1第28節徳島戦でも、188センチ、78キロの大型FW高崎を相手に奮闘した。

 この試合では後半35分にインターセプトからMFシンプリシオに鋭い縦パスを入れ、FWマルキーニョスの決定機の起点となるなど、何度か中盤に正確なパスを供給していた。アギーレジャパンでアンカーの役割もこなせそうだが、当の本人は「やったことないし無理です」と笑う。あくまで本職のCBで勝負していくつもりだ。

 現在、日本代表の主力CBである森重真人(27=FC東京)、吉田麻也(25=サウサンプトン)、塩谷司(25=広島)らは、いずれも18年ロシアW杯を30歳前後で迎える。24歳で臨むことになる岩波には、まだ経験も実績も及ばないことは本人も十分自覚している。「W杯は4年後ですし」と、まずは16年リオデジャネイロ五輪を見据える。「U-19の選手も上がってくるし、一つ一つ競争です」と表情を引き締める。

 10月にA代表に選出されたものの負傷で辞退した昌子源(21=鹿島)をはじめ、植田直通(19=鹿島)、西野貴治(21=G大阪)ら同世代にもライバルは多い。それでも、着実に階段を上った先には、世界の大舞台が待っていると信じたい。

(デイリースポーツ・山本直弘)

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