巨人リーグ優勝の陰の立役者とは?

 他球団の厳しいマークもありながら、リーグ3連覇を達成した原巨人。阿部、村田の主軸が不振にあえぎ、得点力不足に苦しみながらもゴールテープを切った。

 優勝後、原監督はこう言った。「得点力ということに関しては80年の(巨人の)歴史の中でもあまり褒められたチームではないと思います。ただし団結力、ここぞ、という時の守備力は80年の歴史の中で一番強いチームだと思います」。

 打順を毎日のように変え、足技や守備力を駆使した原監督の采配が、チームをリーグ3連覇に導いたことは間違いない。そんな指揮官を支えたのが、川相昌弘ヘッドコーチだ。

 現役時代に世界記録の533犠打を打ち立てた“バントの職人”。常に自分に厳しい練習を課し、妥協も絶対にしなかった。自分の信念は曲げない真っすぐな性格で現役時代から選手の人望が厚く、リーダー的な存在だった。

 2012年まで巨人の2軍監督を務め、昨季から1軍ヘッドコーチとなった。今季もチームの方針を的確にコーチ、選手に伝えた。例えば、走塁に対する意識付け。打てなければ一つでも先の塁を狙う走塁が大事になってくる。

 川相ヘッドコーチは言う。「打てないから負けました、ではダメ。今年は数字ではない。見えないところでの成長がある。慎之助(阿部)や村田に『足を速くしろ』と言ってもできないけど(走塁への)意識付けはできる」。

 粘り強い指導の結果、今季、選手は一皮むけた。「去年より辛抱強くなった。あきらめなくなった。勝つためにどうするか、それを選手が実践してくれた。その結果が今の位置じゃないか」と選手の成長を評価した。

 コーチ陣のまとめ役も担った。「ここ数年、『やれることをやろう』とコーチに口酸っぱく言っている」。ヘッドコーチとして、コーチに対する“意識付け”もきっちり行ってきたのだ。

 今季、首脳陣は打順を変えることによって選手の調子を少しでも上げようとした。「(打順を)いじりたくていじっていたわけではない。僕ら(首脳陣)も安定した戦いがしたかった」と川相ヘッドコーチ。打順を固定したくてもできなかった。試行錯誤し、頭を悩ませた末に原監督が、まるで“日替わり”のようなオーダーを決断した。

 もがき、苦しんだが、チームが団結してつかみ取ったリーグ3連覇。川相ヘッドコーチが、果たした役割は大きかった。

(デイリースポーツ・伊藤玄門)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

コラム最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス