CS進出信じる星野監督の“息子”

 シーズンも大詰め。楽天が、奇跡のCS進出を信じて戦っている。24日現在で、9月は14勝5敗と絶好調だ。辞任を表明した星野監督のためにもと、ナインの奮闘が続く。

 特に打線は毎試合のように機能。島内、藤田、岡島、ジョーンズ、銀次、枡田、松井稼、嶋、西田が、現状のベストオーダーだ。日替わりのように役者が出る。星野監督が「いま、ウチとはやりたくないだろうな」と語るように、上位チームにとってもやっかいな存在になっている。

 中でも銀次の調子が急上昇。8月の終わりに打率を3割に乗せると、9月は覚醒。66打数31安打、打率・470。打率・328となり、一気にリーグ打率トップに躍り出た。

 昨年もリーグ4位の打率を残したが、シーズン終了後には「首位打者になる」と高らかに宣言。今後の展開次第だが、まさに有言実行を果たせる位置にいる。

 超がつくくらいのプラス思考だと思う。今年1月の沖縄自主トレでは、ネタを膨らませたい報道陣の要求に快く応じた。「過去最高打率はバースの打率・389」という話から「それを超えたいか?」という、ある意味ムチャクチャな質問にも「では、それでいきましょう」と笑った。

 あれは、先日の札幌遠征の時だったか。たまたま選手宿舎付近のコンビニでバッタリ会った。私から聞いた。

 「銀ちゃん、監督、どうなると思う?」

 「続けるっしょ。違うんですか?」

 「どうだろう?辞める可能性も、オレはあると思ってる」

 「マジッスか?星野監督がいいです」

 「じゃあ、銀ちゃんがそう言ってたって伝えとくよ。きっと喜ぶよ」

 「お願いします!」

 確か、こんな会話をした。思えば昨年、日本一を成し遂げた日、星野監督と握手をした銀次は指揮官の胸に飛び込んで泣いた。お父さんと息子のようなシーンだなと思って、印象に残っている。

 実際、星野監督が辞任会見をした日の銀次は、言葉が出ないと言った感じだった。「さみしいです。さみしいという言葉しか、今は出てきません」。

 もともとは捕手だった。打力は一級品。その後、内野手に転向。それでも守備に難はあった。だが星野監督は打撃を生かすため、守備に目をつぶって使った。二塁手。「銀次と(枡田)慎太郎で二遊間だぞ!田中が泣いとったぞ」。今でもたびたび口にする言葉。指揮官の“持ちネタ”のひとつだ。

 現在は一塁手、三塁手として、リーグを代表する選手になった。星野監督が使ってくれたから。その気持ちを、バットに乗せるように結果を残している。

 退任会見の18日、5打点の大活躍だった。ヒーローインタビュー、素直で真っすぐな銀次らしい言葉。「すごく悲しいですが…、もしかしたら『まだまだ俺はやる!』って言うかもしれないので、皆さん後押しをお願いします!」。残り11試合、3位まで5・5ゲーム差。絶望的な数字をひっくり返す奇跡を、銀次は信じている。

(デイリースポーツ・橋本雄一)

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