「侍ジャパン」初の世界一を弾みに…

 9月7日。女子野球日本代表、通称マドンナジャパンが、第6回IBAF女子野球W杯決勝で米国を下し、史上初となる4連覇を果たした。宮崎という国内開催、そして侍ジャパンプロジェクトに組み込まれた最初の大会ということで、相当なプレッシャーをはねのけての偉業と、たたえたい。

 決勝戦には、熊崎勝彦NPBコミッショナーも駆けつけて、4連覇の瞬間を見届けた。この前日、タイでの18Uアジア選手権で日本は韓国に敗れ準優勝に終わっており、トップチームから大学代表、12Uなどで構成される侍ジャパンとして、真っ先に“世界を取った”のが女子代表ということになった。

 僅差の中、好プレーが続出する試合展開だったこともあり、熊崎コミッショナーは興奮気味に「本当に、今日は宮崎まで来て良かった。目を見張る技術の進歩に驚きました」と感想を口にし、続けて「女子野球の振興のために、できる限りの協力をしたい」と話していた。

 直後の祝勝会。大倉孝一監督は選手たちと肩を組んで歌い、踊り、ゲストを楽しませる姿を見せた。全国から集まる選手を、主に週末のみの、5度の合宿でここまで一つにした手腕、またゲームの中で臨機応変に策を繰り出し、それを選手全員が体現できる準備など、マネジメント能力の高さも示した。

 その祝勝会で、大倉監督は関係各所への感謝とともに、V4を達成した直後にもかかわらず「まだまだ周囲から見れば『たかが、女子野球』です」とクギを刺した。そして「これを『されど、女子野球』に、みんなでやって行こう!」と話した。

 全日本女子野球連盟が統括する役目を担っているが、役員はすべて無報酬で1人が何役も兼ねている。今大会開催にあたっても法人個人問わずに寄付を募った。

 女子硬式野球の人口は、急増中と言ってもいい。それに応じて、国内の高校、大学などにも受け皿となるチームが増えてきている。

 海外に目を移しても、次回W杯は韓国での開催が決まっており、これまでの、原則として世界ランクに応じての出場権から、例えば来年は欧州、アジアなどで予選を勝ち抜いてのW杯参加となることが濃厚だ。

 世界的なプラスの潮流と、国内で女子野球のために動くことができる人材や金銭面での滞りというギャップを埋めることが、大倉監督の言う「されど、女子野球」となるためには欠かせないし、熊崎コミッショナーの「できる限りの協力」にも期待したい。

 一方で、V4メンバーたちは女子プロ野球や、大学、クラブチームに戻ってプレーを再開する。宮崎まで足を運べなかった人が、少しでも彼女らのプレーを見て「されど」の部分に共感してもらえれば、4連覇の偉業はより大きな意味を持つ。

(デイリースポーツ・西下 純)

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