中畑DeNAがセ界の“台風の目”に

 3年目を迎えた中畑DeNA。24日現在で、27勝36敗。9つの借金を背負って、5位ヤクルトと0・5差の最下位に沈んでいる。昨季は交流戦終了時の成績は25勝37敗で5位。似通った数字だが、その中身は違った。今季と昨季との比較を中心に、ここまでの戦いぶりを検証したい。

 昨季は交流戦で7勝17敗と大きく負け越した。交流戦前まで18勝20敗、借金2と健闘していたが、ここで一気に10を加算。25勝37敗という数字になった。今季の交流戦は12勝10敗。7年ぶりの勝率5割以上を確定させている。今季の27勝36敗はという数字は、借金を2つ減らして得た数字だった。

 中畑監督は交流戦の目標を勝率5割に設定。達成してみせた。それなりの裏付けがあって立てた目標だろう。12勝を達成した直後に、聞いてみたところ、予想しない答えが返ってきた。

 「根拠?ないよ。願望だな。去年は交流戦で借金を10も作った。イヤなイメージを持つのはイヤだった。何とか5割でいけたらいいなと思ったからね」。

 交流戦に対する苦手意識を払拭(ふっしょく)する意味で、具体的な数字を目標として掲げたのだという。だが、口には出さなかったが、昨季より力をつけた手応えが、その胸中にあったと考える。今季と昨季の数字を比較する中で、チーム力アップが伺えるからだ。

 ▽3、4月の成績

 13年…12勝16敗 打率252 防御率4・81

 14年…7勝18敗 打率245 防御率5・30

 ▽5月の成績

 13年…9勝14敗 打率248 防御率4・39

 14年…13勝12敗 打率247 防御率3・94

 ▽交流戦成績(14年は24日現在)

 13年…7勝17敗 打率238 防御率4・69

 14年…12勝10敗 打率265 防御率3・64

 ▽6月の成績(14年は24日現在)

 13年…8勝10敗 打率251 防御率4・11

 14年…7勝6敗 打率268 防御率3・71

 打率、防御率とも前年を下回ったのは3、4月のみだった。月間勝ち越しに成功した5月以降は防御率が前年を上回る。そして、交流戦を経て打率も前年を上回る数字になった。さらに、昨季は序盤戦でブランコが大活躍した。4月に15本塁打35打点を記録。6月までに25本塁打、67打点の大暴れ。今季は故障で1カ月戦線離脱し、現在も再降格中で、ここまで4本塁打、19打点止まり。ブランコ頼みだった昨季とは違い、5月から交流戦を経て、主砲不在の穴をカバーして、前年を上回る成績を残した。

 中畑監督は5月の月間勝ち越しの要因に「後ろ(リリーフ陣)がしっかりしてきたからな」と言う。新人の三上を抑えに固定。勝ちパターンが作れるようになった。「三上の存在が大きいね。方程式がうまくはまった。1点差で勝ちゲームが作れる。そういう勝ち方ができると安堵(ど)感が出る」と言う。

 「4月の負けはある程度は覚悟していた。何をやってもダメだった。投打がまったくかみ合わなかった」と指揮官は振り返る。そして今後の目標を設定する。「序盤の借金の多さから考えたら5割じゃダメ。今は連敗しないチームになっている」。5割という目標をクリアして、リーグ戦再開後の目標は5割以上。少しずつ借金返済していく考えだ。

 ちなみに、交流戦中のチーム打率はセ・リーグではヤクルトに続く2位。防御率は巨人、中日に続いて3位。上位進出の根拠となる数字を残している。

 「交流戦は相手もいいピッチャーで勝負してくる。5割でいければ、リーグ戦に戻っても、自信を持って野球ができる。大事なこと」。そう話していた指揮官。DeNAがセ・リーグの台風の目になるかもしれない。(デイリースポーツ・鈴木創太)

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