“タナカ・マニア”からの挑戦状

 「こんなデカいとは思わなかったよ」

 そうヤンキースの田中将大投手(25)の第一印象を表現したのは、レイズのエース、デービッド・プライス投手(28)だ。

 4月18日、フロリダ州タンパで行われたレイズ対ヤンキースの一戦。試合後の通路で2人は初対面し、言葉を交わした。顔を合わすのは初めてだったが、実は2人は“旧知の仲”だ。

 「ハロー、マイフレンド!!君のネックレス、最高だね!どこのやつ?1つもらえないかな?」

 プライスが自身のツイッターで田中将にメッセージを送ったのは約5カ月前、昨年12月19日のことだ。

 「テレビでタナカの映像を見たときにこっち(米国)では見たことのないネックレスをつけていたんだよ。輝きがハンパなくてね。あれはヤバかった」

 当時は田中将がポスティングシステムでメジャーへの移籍希望を表明した直後。このタイミングでこんなノー天気なツイートはどうかとも思うが、プライスにとってはそれほど魅力的な代物だったのだろう。

 ネックレスの一件を機に、プライスにとって田中将は気になる存在になったようだ。聞けば、メジャーデビューを果たした4月4日のブルージェイズ戦や前回16日のカブス戦、さらにはオープン戦初登板(3月1日・フィリーズ戦)も見ていたことを明かし、「あのスプリットは好きだね。93、4マイルの真っすぐの制球がとてもいい」と絶賛。「俺は野球選手だけど、同時に野球ファンでもある。相手のバッターを支配するタナカのピッチングは見ていて本当に楽しい」。ここまでくれば“タナカ・マニア”と呼んでいいだろう。

 メジャー7年目のプライスの通算成績は74勝40敗、防御率3・22(4月24日現在)。昨季まで5年連続2桁勝利を記録し、12年には20勝&防御率2・56でタイトル2冠、年間最優秀投手賞にあたるサイ・ヤング賞も受賞している。今季終了後にフリーエージェント(FA)になるため、争奪戦は必至。田中将の7年1億5500万ドル(約158億円)を上回る可能性は十分にある。

 レイズとヤンキースは同じア・リーグ東地区に所属。今季は15試合の対戦が残っている。「俺たちが投げ合うときは必ず来る。その日が来るのを楽しみにしてるよ」。オフの間に手に入れたクリスタルのネックレスを首に光らせてプライスは言った。メジャーを代表する左腕からの挑戦状だった。

 メジャー1年目の田中将はここまで4試合に登板し、3勝無敗、防御率2・15と好投している。35奪三振&2四球は驚異的な数字(同)として全米で大きな話題になっている。それだけにプライスをはじめ、メジャー屈指の好投手との投げ合いは見どころだ。

 レンジャーズのダルビッシュ有、マリナーズの岩隈久志とフェリックス・ヘルナンデス、タイガースのジャスティン・バーランダーとマックス・シャーザー、メッツの松坂大輔…。今季実現可能なマッチアップはたくさんある。きっと、プライスも一人の野球ファンとして楽しみにしていることだろう。

(デイリースポーツ・小林信行)

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