新興、名門入り交じった甲子園が面白い

 今年のセンバツは、記念大会の昨年(36校)に比べて、出場校が32校と少なく、これに伴い開催期間も短かったにもかかわらず、昨年を7万4000人上回る49万7000人という観客を動員した。

 いろいろな要因が考えられる。高校野球人気そのものが、再燃しつつあること。組み合わせで強豪校がうまく分かれたこと。一方で、智弁和歌山・高嶋監督対明徳義塾・馬淵監督といった、興味を引くカードが組まれたこと…。

 中でも徳島・池田が22年ぶりに甲子園に帰ってきた(春は27年ぶり)ことが、高校野球ファンにはうれしい出来事として、観客増の後押しとなったはずだ。

 勢力図は、毎年、変わる。このセンバツで優勝した龍谷大平安も、春夏合わせて70回の出場を誇るが、例えば1975年から89年の15年間で1度(80年春、1回戦敗退)しか出場できない“低迷期”もあった。

 この龍谷大平安も含め、大学と併合することで学校としての経済力やネットワークを強化して、野球部の充実を図る高校も少なくない。

 一方で、今回初出場の沖縄・美里工の神谷監督のように「あの監督の下で」と選手が集まれば、公立でも力をつけることができる。

 こうして、めまぐるしく勢力図が塗り替えられるからこそ、名門、古豪と言われるチームは復活そのものがうれしいニュースとしてファンに受け入れられる。今回は、それが池田だった。

 しばらく甲子園から遠ざかっている学校といえば、例えば大阪・PL学園(09年夏が最後)や愛媛・松山商(同01年夏)などが挙げられる。

 PL学園は1年前の、部員による暴力事件もあり、正規の監督を決められない状況が続いている。昨秋は府大会準優勝と、完全に弱体化したわけではないが、あるOBによれば「もう一歩、を乗り越えるには、しっかりした監督が必要」という。

 ただ、プロに100人も送り込んでいるような名門校だけに、OBの目は厳しい。ファンの注目も、ライバル校の監視?も他の高校とは比べものにならないだろう。

 そういうプレッシャーと、「サラリーマンの平均年収より少ないのでは?」(前出OB)とも言われる報酬でも、あえて火中の栗を拾おうとするには大変な勇気や母校愛を要するだろう。

 松山商は09年に、創部以来初めて、OBではない監督(重沢和史氏、今治西出身)が就任した。結果としてまだ、甲子園出場は果たせていないが、同校OBからの、高い評価が伝わって来ている。

 “野球どころ”でもあり、PL学園にも劣らぬ注目の中、松山商OBから評価されるだけの労力は並大抵ではなかろうと推察する。

 他にも“眠っている名門”は数あるだろう。名が知れているだけに、選手も関係者もさまざまなプレッシャーにさらされるだろうが、それを乗り越えて、池田に続く名門復活を待つファンは、多い。

(デイリースポーツ・西下 純)

編集者のオススメ記事

コラム最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス