倉本PGA新会長に期待すること

 日本プロゴルフ協会(PGA)の新会長にツアー通算30勝で永久シードを持つ倉本昌弘氏が就任した。PGAは昨秋、元賞金王の副会長と現職理事が指定暴力団の会長とゴルフをするなどの交際が発覚し、年末に当時の森静雄会長ら全理事と全代議員が総辞職。2月に出直しの会長選挙を行い、倉本氏が再選を目指した森氏を破った。

 倉本新会長は会長選挙でも代議員に配布した「経営マニフェスト」を就任後の記者会見でも早速、披露した。底辺拡大事業の推進、PGAによるゴルフスクールの確立、組織改革、ツアー部門を統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)との連携を柱とする改革案だ。

 男子プロの統括団体であるPGAはシニアツアーなどの競技を主催する一方、資格認定などの業務を行い、会員はティーチングプロなど全国に約5200人がいる公益社団法人。少子高齢化の影響もあってゴルフ人口は減少傾向にあるため、倉本新会長が打ち出した底辺拡大や会員の有効利用などはゴルフや組織の発展に向け急務だろう。

 しっかりとした政策に加え、倉本新会長には豊富な国際経験を元にしたアイデアや実績、幅広い人脈、知名度、発信力といった武器がある。改革への期待が高まる。

 就任翌日の25日にはJGTOの海老沢勝二会長と会談を持った。倉本新会長はPGAからツアー部門を切り離し、1999年にJGTOを立ち上げた張本人。複雑な立場ながら持ち前の行動力をみせ、海老沢会長は「合併はないが、お互い協力してやれることはやっていく」と連携に含みを持たせた。

 ただ、その一方でJGTO関係者から「なぜ会長選が行われたのか。まずはそこから、ではないのでしょうか」という冷ややかな声があるのも事実だ。

 PGAは2005年の会長選でも、幹部が暴力団関係者に依頼して投票権を持つ理事を監禁する事件を起こした。その後、暴力団排除宣言を計2度に渡り出したが、反社会勢力との完全決別は実行されず、今回の事件が起きた。

 まずは信頼回復が必要だろう。倉本新会長は「暴力団排除の徹底を訴えていく。そのために地方を回り、数多くの人と面談したい。発覚した場合は除名や退会などの処分を課す」と決意を示した。指導や普及での数々の改革案、そして逆風にさらされる日本男子プロゴルフ界の結束を実行するためにも、早急に不祥事の総括や再発防止策をはっきりと示すことが期待される。

(デイリースポーツ・松森茂行)

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