フォルランはJリーグに何をもたらすか

 2月9日、大阪市内でC大阪の「サポーターズコンベンション」が開催された。ランコ・ポポビッチ新監督やMF長谷川アーリアジャスールら新加入選手のお披露目が行われ、日本代表MF山口蛍のキャプテン就任も発表された。残念ながらウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランの来日は間に合わなかったが、会場は詰め掛けた1000人を超えるサポーターの熱気に包まれていた。

 C大阪は昨季、日本代表FW柿谷曜一朗、同MF山口蛍らのブレイクもあり、リーグ戦とナビスコ杯を合わせた21試合でクラブ史上最多となる36万1103人を動員した。スタジアムだけではなく、舞洲の練習グラウンドにも連日若い女性が押し寄せ、「セレッソ女子」=「セレ女」という言葉まで生まれた。

 また、13年の広告収入は前年比136%の約15億1948万円、入場料収入は同122%の約6億460万円、商品(グッズ)収入は同160%の約3億3245万円と収入3本柱で約25億円の大幅な増収を果たした。Jリーグからの配分金なども合わせると営業収益が初めて30億円を超える見込みで、クラブにとって大きな躍進の1年となった。そしてクラブ創設20周年を迎える今季、C大阪はさらなる攻めのクラブ運営に打って出た。

 その象徴となるのがフォルラン獲得だ。10年W杯南アフリカ大会でMVPと得点王に輝き、2度のヨーロッパ・ゴールデンシューも受賞した説明不要の世界的ストライカー。C大阪の岡野社長は「(柿谷ら)若い選手がお客さんを呼ぶ力を身に付けつつあり、ここでもう一段レベルの高い本当のプロフェッショナルを(チームに)入れて、スタジアムを劇場のように素晴らしいものにしたい」と大型補強の狙いを語った。

 C大阪は今季の目標入場者数に52万人(リーグ戦とナビスコ杯を合わせた21試合)を掲げた。昨季の36万人から16万人の増加で、客単価を1人当たり2000円とすれば入場料収入は3億2000万円の増収となる。フォルラン獲得という“先行投資”を入場料収入やグッズ収入の増加で回収する。“観客を増やして稼ぐ”というビジネスモデルは決して容易なものではないが、C大阪が成功を収めれば追随するクラブが必ず現れ、Jリーグ全体が活性化していくことは間違いない。

 「フォルラン効果」は早くも現れている。最高で45万円(3席1口)の「オーナーズシート」がクラブ史上初めて完売。現在2次受付中の「年間パスポート」の売れ行きも好調で、レプリカユニホームには予約が殺到しているという。

 昨季Jリーグの「最優秀育成クラブ賞」を受賞したC大阪が高額なビッグネームを補強することは、育成型クラブの哲学に逆行するのではという指摘があるかもしれない。だが、ここにも「フォルラン効果」がある。岡野社長は若手選手に対して「彼らを光り輝く本当のプロサッカー選手にするためにはもっとすごい手本が必要。本当のプロサッカー選手とは何かというのを一度見せてあげたい」と“育成”の効果も強調した。柿谷、山口、扇原、南野といった伸び盛りの若手がフォルランから受ける影響は計り知れないだろう。さらにはDFのレベルアップも期待できる。フォルランと対戦することは、将来の日本代表入りを目指す選手たちにとっても貴重な経験となるはずだ。

 W杯イヤーのJリーグが幕を開ける3月1日、C大阪は3連覇を狙う王者広島をホームに迎える。長居スタジアムの歴代最多入場者数は、05年12月3日のJ1最終節FC東京戦の4万3927人。プレーシーズンマッチも合わせると、中田英寿氏が出場した03年6月4日のパルマ戦の4万5755人が歴代最多となっている。開幕戦でいきなり記録を塗り替えることはあるのか、期待は膨らむばかりだ。

 フォルランはいよいよ12日に来日する。柿谷とのコンビはJリーグ史上最も美しいものなるかもしれない。夢はどこまでも広がる。青い瞳のストライカーがC大阪に多くのものをもたらし、Jリーグが空前の熱狂に包まれることを願ってやまない。

(デイリースポーツ・山本直弘)

編集者のオススメ記事

コラム最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス