「ベンチ前の肩慣らし禁止」が見送りへ

 プロ野球で来季実施する予定だった「試合中のベンチ前でのキャッチボール禁止」が、見送られる方向になった。今季の後半、2軍戦で試験的に導入されていた。だが、現場から「キャッチボールで肩を慣らすことが習慣となっている日本での導入は難しい」などと反発の声が上がったためだという。この見送りは、個人的に安心した。

 そもそも、野球規則では「プレー中の選手以外はネクストバッターズサークルと一、三塁のコーチスボックスに出ている者を除いてベンチ内に入ること」と定められている。WBCなど世界大会では適用されていることから「日本も世界基準に合わせるべき」という理由から導入の検討が始まった。

 実際に2軍戦で導入されると、大半の投手から不満の声が聞かれた。これまでは自軍の攻撃の間に、次のイニングに備えて肩を作っていた。新ルールに慣れようと、キャッチボールをせずにマウンドに上がることを試みた投手もいたが、うまく対応できなかった。すると、投げ終わってベンチに引き上げ、すぐにブルペンに向かう投手が続出した。

 小走りでブルペンに向かいキャッチボールをする。そのままブルペンからマウンドへ上がる。慌ただしい光景は、違和感だけが目立った。これを1軍に置き換える。DH制を採用しているパ・リーグなら、もしかすると可能かもしれない。だが、投手が打席に入るセ・リーグでは不可能だろう。

 キャッチボールしないことに慣れるにも、また時間はかかるだろう。それが、春先の寒い時期に故障にでもつながったら、元も子もない。ある選手は「このルールが本格的に導入されたら、不安で仕方ない。適応する自信がない」と漏らしていた。

 さらに言えば、ファンサービスの低下にもつながるのではないかと思っていた。球場に足を運ぶファンの前で、応援しているチームの投手がベンチ前に出てくるだけでもうれしいはずだ。広島・前田健の「マエケン体操」などは最たるものだろう。このような行為も日本野球のよさなのではないだろうか。

 メジャーで活躍する日本選手が急増し、世界が近くなっていることは喜ばしいことだ。だから、世界基準を導入するという考えも理解できる。だが、一方で何でも導入するというのは疑問を抱いてしまう。

 今回のように、試験的に行われることは、正しい判断へ導かれると思っている。これからも試行錯誤とともに、日本野球が向上することを願っている。

(デイリースポーツ・西岡竜一)

編集者のオススメ記事

コラム最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス