AKB48と楽天との不思議な“接点”

 8日にアイドルグループ・AKB48が最初の劇場公演から8周年を迎えた。同日、東京・秋葉原のAKB48劇場での記念公演では世界的アーティストのレディー・ガガから祝福メッセージも届いた。草創期は注目度も低かったが、今ではメディアに登場しない日がない国民的なグループへと成長した。

 風物詩ともいえる選抜総選挙、じゃんけん大会はテレビ中継され、今年は5大ドームツアーを敢行。前田敦子、板野友美、秋元才加、篠田麻里子ら主要メンバーが抜けても、シングルはミリオンヒットを続ける。11月には初の試みとしてドラフト会議も開催した。

 AKBが誕生したのは05年。今年、初の日本一を成し遂げたプロ野球・楽天の最初のシーズンと同じ年だ。以降、両者の歩みは意外なほどリンクする。楽天の初年度の成績は38勝97敗1分け。首位から51・5ゲーム差離れてのぶっち切りの最下位だった。

 一方のAKBは12月8日の初劇場公演の観客がたったの7人。以降、客足が伸びない日が続いた。メンバーの母親的存在で、結成当初から広報担当を務める西山恭子さんは「お願いしても取り上げらてもらえない。CDを持って行っても右から左。どこの馬の骨だか分からないグループと思われていましたから」と苦笑いで振り返った。

 その後、楽天は野村克也監督のもと、09年に創設以来初のAクラスをマーク。AKBもこの年10月にリリースした14枚目シングル「RIVER」で初のオリコン週間1位を獲得。絶頂への大きな足がかりとなった。

 そして、今年。楽天は初の日本一。AKBは女性グループ初の5大ドームツアーで延べ40万人を動員。そして選抜総選挙と単独ライブを横浜・日産スタジアムで行い、グループ史上最多の1公演7万人を動員した。西山さんも「8年というのは私たちにとっても区切りといえば区切りかもしれないですよね」と両者の“接点”に感慨深げだった。

 楽天の戦いはこれからも続いていくが、AKBはどうなっていくのか。西山さんは「こればっかりは分からない。終わる日が来るのか、ひょっとしたら時代が(AKBを)終わらせることになるのかもしれない」と話す。ただ、こうも付け加えた。「私たちには専用劇場がある。その時々でいろんな大きいイベントをやるけれど、16人での劇場公演は続けていく。それは、これまでもこれからも変わりません」。

 どれだけグループが大きくなっても、メンバーの入れ替わりが進んでも、決してぶれることのないしっかりした土台がある。大黒柱の大島優子や高橋みなみは、大きなコンサートを行うたびに「劇場公演のありがたみを感じる」という。プロ野球同様の絶対的な“ホーム”の存在。これがある限り、AKBはこれからも走り続けていくだろう。

(デイリースポーツ・野畑圭司)

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