内村「アイドル気分」熱狂50万人に感激

 夢と感動をありがとう!ロンドン五輪の興奮冷めやらぬ中、体操の内村航平(23)=コナミ、レスリング女子の吉田沙保里(29)=ALSOK=ら金メダリスト7人を含む総勢71人のメダリストによる史上初の凱旋パレードが20日、東京・銀座で行われた。炎天下、銀座通り口から銀座8丁目まで約1キロのコースに詰めかけたファンは、何と約50万人。09年にプロ野球・巨人が同地で日本一パレードを行った時の34万人を大幅に上回り、史上空前の盛り上がりとなった。

 吉田だ!内村だ!なでしこだ!この夏、日本中を熱狂させたメダリストたちを一目見ようと、銀座に詰めかけたファンは50万人。歩道は人であふれかえり、沿道に立つビルの中、屋上にも人、人、人。気温33度の炎天下、わずか1キロのコースに、夢と感動を与えてくれたアスリートたちへの感謝が凝縮されていた。

 あまりの人の多さに、選手たちも目を丸くした。左手で金メダルを握り、笑顔で手を振った内村は「僕の名前の書いてあるうちわを持った人がいっぱいいて、ビックリ。ちょっとアイドル気分を味わえた」と照れくさそうに頭をかきながら、「(16年の)リオでも金メダルを獲って、こういうパレードをしてもらいたい」と、クセになった様子。旗手として、先導のオープンカーに乗車した吉田も「50万人はそうそう集まらない。本当にすごくて、気持ち良かった」と笑顔をはじけさせた。

 また、メダリストから、ファンへの感謝も伝えられた。『祈 被災地復活』というパネルを掲げ、ハンマー投げ銅メダリストの室伏広治は特別な思いを持って、パレードに臨んでいた。「3・11以降で最初の五輪。自分の復活を見せることが、応援してくれる人への恩返しになると思っていた。どうしてもメダルを獲ることが大事だった」とメダルに懸けた思いを明かし、「パネルは今朝作りました。目標を果たせて良かった」と、ホッとしたように笑った。

 このパレードには、2020年東京五輪招致に向けたアピールの意味合いもある。内村が「こうやって日本が一つになれる機会は、なかなかない。東京開催でさらに一つになって、元気になれる。ぜひ東京でやってほしい」と話せば、室伏も「五輪にはこれだけの力がある。若い世代への活力にもなるし、ぜひ東京にきてくれることを願っている」と力を込めた。

 この日、沿道の子供たちは、バスが見えなくなるまで、一生懸命手を振っていた。その轍(わだち)に芽生えるのは、新たなる夢。この夏、メダリストたちが見せてくれた数々のシーンは、きっと未来へとつながっていく。

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