小6ボクサー、世界王者目指す 打ち合いになっても頑張る
東京・下町で小学6年の男の子が世界チャンピオンを目指してボクシングの厳しい練習を続けている。小学生最後の夏、かつて敗れたライバルに再び挑んだ。
▽その一言
「家に帰ってもシャドーボクシングをしています」。東京都墨田区のジム「リーズン」に所属する天海創太君(11)。周りの勧めでボクシングを始め、小学2年からジムに通う。「いつも一緒にいてくれる大切な存在」というトレーナー広瀬智之さん(36)と全国大会の優勝を目指してきた。
ライバルは足立区の「JBスポーツ」の小学6年坂間叶夢君(12)だ。昨年、15歳以下が対象の「U-15ボクシング全国大会」東日本代表決定戦で天海君に勝ち、全国大会で栄冠に輝いた。2人は今年も東日本代表の座をめぐり対決することに。
試合前、神経が張り詰め天海君の体は硬くなり動きが悪くなった。それを見た広瀬さんは言った。「憎しみを捨てなさい」。その一言に体の緊張がほどけ動きが伸びた。
▽打ち合い
7月下旬、神奈川県平塚市内で開かれた「U-15ボクシング全国大会」東日本代表決定戦。2人は32・5キロ級で、ともに攻守のバランスがとれたタイプだ。
1ラウンド1分で、3ラウンド。激しい打ち合いになった。終了を告げるゴングが鳴ると、判定を待つ静けさが会場を包む。レフェリーが坂間君の手を高く持ち上げた瞬間、天海君は悔し涙をこぼした。
坂間君は「前より強くなっていた」と言う。元世界スーパーフライ級王者で大会実行委員長のセレス小林さん(42)は「天海君はカウンターを打てるタイプだが、坂間君もうまいのでなかなか当たらない」と分析した。
「負けは負けです」と天海君。でも夢はあきらめない。「次、打ち合いになっても頑張る。やっぱり勝ったときが面白い」。猛暑の中、もう練習は始まっている。