米WWE殿堂入り・藤波辰爾の「使命」

 世界最大のプロレス団体・米WWEの名誉殿堂「ホール・オブ・フェーム」入りを果たした藤波辰爾が、現地時間3月28日に米国カリフォルニア州サンノゼのSAPセンターで行われた記念式典に出席した。ライバルだったリック・フレアーから「IWGPとNWAの両王座についた日本で最高のレスラー」と紹介され、ベイダーら多くのレジェンド、現役WWE選手、ファンで満員となった会場に登場。英語でスピーチした。

 「ここに立つことができて大変光栄です。本当にありがとう。私はデビューして43年、61歳になりましたが、まだまだ現役で試合もしています。それは私にとって『使命』だからです。WWEの殿堂に入ることが出来ましたが、挑戦と冒険を続けて行きたいと思っています」。

 通訳が必要か聞かれた際、「短くても自分の言葉でしゃべりたい」と申し出たという藤波の肉声に大きな拍手が送られた。殿堂入りメンバーでは初の現役選手ということで、現在も試合をしていると明かした場面でひときわ大きな歓声が起こった。何よりも規模に驚かされた。「アカデミー賞とかを意識してるみたい。授章式だけで有料で1万8000人も入ってるんだから」。かつてのWWFを知るだけに隔世の感があった。

 現地ではハルク・ホーガン、ボブ・バックランド、イワン・コロフ、サージェント・スローター、ブルーノ・サンマルチノらと再会し、最高の時間を過ごした。ノアからWWE入りしたKENTAことイタミ・ヒデオとも対面。レッスルマニアのアンドレ杯バトルロイヤルに出場したイタミを激励した藤波は「彼にも(自分の殿堂入りが)いい励みになったと思う」と飛躍を期待した。

 78年にニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)でWWWF(当時、現WWE)ジュニア王座を奪取したことが殿堂入りの第一歩だった。自分と同じ道を志した長男・LEONAを米国に帯同した藤波は、セレモニー翌日のレッスルマニア観戦後に即帰国せず、「息子に見せたくて」とMSGに足を伸ばした。見学ツアー客の一員として足を踏み入れた館内は別物になっていたという。「控室とリングしか(詳しく)知らないけど、きれいになったね。改めて見たらすごい場所」と自身の出発点と言い切る会場に感激した。

 殿堂入り記念に贈られた2つのメダルと指輪を大切に日本に持って帰った。指輪とメダルの1つはケビン・ナッシュ、ラリー・ズビスコ、俳優アーノルド・シュワルツェネッガーら同時受章者と共通で、もう1つのメダルには粋な計らいで『龍』の漢字1文字が入っていた。ドラゴンは「指輪は(10年に殿堂入りした)猪木さんも同じじゃないかな。メダルの1つはオリジナル。ありがたいこと」と感謝した。

 主宰する5月11日のドラディション後楽園ホール大会で、日本のファンに殿堂入りの報告を行い、記念品も披露する予定。「警備員をつける?」とジョークを飛ばす笑顔が輝いていた。今後、殿堂入り記念大会も行う予定の藤波は「(自分以外の)現役の選手も(WWE)殿堂入りが夢じゃないんだと思って欲しい。猪木さんだから(特別)だとか。そうじゃないんだ、手が届くんだと」と力説した。後輩レスラーに続いて欲しいと願う61歳は、まだまだリングで手本になっていく。

(デイリースポーツ・大島一郎)

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