役所広司 震災記録映画でヤラセに怒り
東日本大震災の被災地、宮城県南三陸町のラジオ局に密着したドキュメンタリー映画「ガレキとラジオ」(12年8月公開)に、「やらせ」があったと5日、報じられた。ナレーションを担当した俳優・役所広司は同日、公式ホームページで「記事を読んで愕然としました」「この映画は二度と上演されるべきではない」などと怒りのコメントを発表した。
役所はボランティアで参加し、同映画のHPでは「この企画に参加できて幸せです」などとコメントが掲載されていた。
同映画は震災から2カ月後に開局した災害ラジオ局「FMみなさん」と町民の姿を描いたドキュメンタリー。娘と孫を津波で失った女性がラジオに励まされる場面が描かれるが、実際はラジオを聴いておらず、制作側の求めに応じて演技をしていることが判明した。
【以下、役所広司のコメント全文】
3月5日早朝、事務所スタッフからドキュメンタリー映画「ガレキとラジオ」の撮影の際に「ヤラセ」の演出があったという記事が新聞に掲載されています、という連絡が入りました。記事を読んで愕然としました。
この映画のナレーションの依頼を受けたのは、まだ被災地で撮影が続いている時期の事でした。完成したこの映画を劇場公開し、その収益金は南三陸町に寄付されるという企画でした。企画の内容と何よりも私も被災された皆さんの何らかの役に立てるかも知れない、と、喜んでボランティアで参加しました。自分自身、このような趣旨の作品に出会えたことを幸せに感じました。俳優という仕事をしていて良かったとも思いました。
この映画を、支援の心を持って観て下さった観客の皆さんは、さぞ憤慨されていることでしょう。
そしてご遺族のご遺体が見つからない苦しみに加え、ドキュメンタリーでやってはならない演出で出演された女性の方に、新たな苦しみを与えてしまったこの映画は、今後二度と上映されるべきものではありません。 僕もこの映画作りに参加した人間として、とても悲しく思います。
この映画にボランティアとして協力して下さった方は沢山いらっしゃると思います。長い時間を掛けて現地で車に寝泊まりして撮影を敢行したスタッフの苦労は、ドキュメンタリー映画でやってはならない演出で全てが無になってしまいました。
真実の部分は多々あると思いますが、この「ヤラセ」の部分の演出を知っていて作品を完成させた制作側に、大きな責任があると思っています。
この映画が世に出てしまったことが残念でなりません。
この作品に参加した人間として、作り手側の志が高かったことは信じています。だからこそ、この作品の身の引き方として不足、欠点のないよう締めくくって頂きたいと心から思っています。
