１１日にすい臓がんのため亡くなった俳優の夏八木勲さんについて、女優の戸田恵子が「カッコよかった」夏八木さんの忘れられない話を披露している。

　１９９９年に公開された映画「ＧＴＯ」の北海道ロケの際の話で、１３日の公式ブログにつづっている。

　「撮影は真夏で北海道とはいえ、連日炎天下でした。あるとき、出演者はテントの下で日除けをしていたのですが、エキストラさん達は炎天下での待機」。そんなとき、夏八木さんがエキストラさん達に声を掛けた。『まだテント内にスペースがあるから入って』と。

　「その時、私は夏八木さんのその心からの優しさ、本当に忘れまい！と思いました。もちろん、ペーペーの役者じゃそんな事言える立場にもないのだけど、私もいつか言える立場にあったら言える人になろう！と強く思ったのでした」

　そのロケ中にもう一つ、夏八木さんから掛けられた言葉を戸田は今でもはっきりと覚えている。

　出演者同士、毎晩酒盛りが続いていたところ、夏八木さんに「戸田くんは毎晩飲んでて、朝の撮影で顔がむくんだりとか気にしないのかい？」とやんわりたしなめられた。

　しかし戸田はそのとき「「そうか、女優は顔映えをもっと気にするものなのか…と思い知らされながら」も素直にうなずきはしなかった。

　「『気にしないです！夏八木さんとお話できるこの時間の方が私には大事です』なんて言ってしまった。だって本当のことだから。『嬉しいこと言ってくれるね～』って夏八木さんは照れてらした。忘れられないです」

　１４年前の夏、北海道で見た夏八木さんの素適な素顔が戸田には今でも「夏八木さんは本当にカッコよかった！」と、まぶたに新鮮に浮かんでいる。