坂本龍一 大島監督に「僕のヒーロー」
15日に肺炎のため死去した映画監督の大島渚さん(享年80)の葬儀・告別式が22日、東京・築地本願寺で営まれ、多くの映画関係者、友人らが700人が参列した。
映画「戦場のメリークリスマス」に出演し、音楽も担当した音楽家の坂本龍一(61)は、21日に在住する米ニューヨークから葬儀参列のために帰国。書面を読まずにそらんじた弔辞では「あなたが亡くなってから、我が家では“大島祭り”をやっていて、デビュー作から順番に見てきました。15、16歳で最初に見たのは『日本春歌考』だったと思います。それ以来、作品を見てから、あなたは僕のヒーローになりました。そのヒーローであるあなたが、(『戦メリ』の)台本を脇に抱えて私に会いに来て下さり、私に『映画に出て下さい』とおっしゃいました。私は驚きました。私は無謀にも、『私に音楽をやらせて下さい』とお願いし、あなたは『いいです。お願いします』とおっしゃいました。そこから全てが変わりました。私が今日あるのは、あなたのおかげです」と感謝した。
さらに「社会を厳しく叱る人間がいなくなって、日本は少しつまらない国になったかもしれない。現在の日本という国を見てあなたはどう思っていらっしゃるでしょうか。あなたのすべてにありがとう」と遺影に語りかけた。
出棺では、俳優の松田龍平、寺島進、映画監督の大森一樹氏らが、棺をかかえ、「戦メリ」のテーマ曲が流された。妻で女優の小山明子が「彼はいい旅立ちをしたと思う。今ころは天国で(映画監督の)若松(孝二)さんとお酒を酌み交わしていることでしょう。きょうほど大島渚の妻として誇りに思ったことはありません」とあいさつした。
告別式にはほかに、司葉子、阿川佐和子、山本寛斎、辰巳琢郎、篠田正浩監督・岩下志麻夫妻らが参列した。
